2023/05/27
「卵胞刺激ホルモンの卵巣内投与」 津田沼IVFクリニック | tsudanuma-ivf-clinicのブログ (ameblo.jp)
黄体期に卵巣刺激のために遺伝子組換えヒト卵胞刺激ホルモンを卵巣内に注射することは、切迫卵巣不全と卵巣予備能低下女性の採卵において有効です。
結果
卵巣予備能低下女性に、採卵直後に遺伝子組換えヒト卵胞刺激ホルモン300単位初回投与を卵巣内(A群)と皮下(B群)に行いました。その後の黄体期刺激には、両群ともゴナドトロピンを適宜皮下投与しました。
A群では、ゴナドトロピン投与量が有意に少なく、卵巣刺激期間が短く、胞状卵胞数が多く、成熟卵子数および採卵数が増加しました。
多血小板血漿(Platelet Rich Plasma;PRP)
不妊症、不育症、卵巣機能不全での応用
卵巣内注入
血小板に含まれる成長因子
血小板にはさまざまな機能を持つ顆粒が貯蔵されていて、ここから放出される成長因子によりその作用を発揮します。
例えば血小板のα顆粒には、血小板由来増殖因子(platelet derived growth factor;PDGF)、形質転換増殖因子(transforming growth factor;TGF-β)、血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor;VEGF)、血小板由来内皮細胞増殖因子(platelet-derived endothelial cell growth factor;PD-ECGF)などの液性の増殖因子が含まれ、血小板の粘着、凝集の際に活性化するとこれらの増殖因子が細胞外に放出され、組織の損傷の修復を行うなどの効果を発揮すると考えられています。
PDGFは主として線維芽細胞や平滑筋細胞、PD-ECGFは血管内皮細胞の増殖を促進し、TGF-βは血球細胞やリンパ球などに対して増殖抑制因子として働くとされています。
また、これらの増殖因子は肝硬変などの線維化を伴う疾患の進展に重要な役割を果たす他、動脈硬化やがんの病因、炎症、創傷治癒、胎児の筋肉や骨格の成長・血管新生等に関与していると考えられています。
PRP治療は、患者さんの血小板に含まれているこれらの成長因子を高濃度で子宮または卵巣内に注入する方法です。
胚移植を予定している月経周期の10~12日目の子宮内注入により子宮内膜の機能が改善して、子宮内膜が厚くなったり、着床しやすくなるとされています。
また、採卵日の卵巣内注入により卵巣機能が改善し、2~3か月後以降の卵胞数や採卵数が増加したり、卵子の質が改善するとされています。
コメント
PRPと比較すると、非常に簡単で安価な治療法と思います。
保険適応外治療です。