2023/03/28
慢性子宮内膜炎を有する不妊症女性と有さない不妊症女性における乳酸産生菌の腟内細菌叢プロファイリングの差異
「腟内乳酸菌と慢性子宮内膜炎」 津田沼IVFクリニック | tsudanuma-ivf-clinicのブログ (ameblo.jp)
慢性子宮内膜炎は、原因不明の不妊症、反復着床不全、不育症に関連する感染性・炎症性疾患です。
慢性子宮内膜炎の診断には子宮内膜生検・病理組織学的検査や子宮鏡検査などの子宮内への介入が必要です。
不妊症女性の慢性子宮内膜炎を予測する手段として、腟分泌物中の微生物叢を分析しました。
腟分泌物の微生物叢におけるStreptococcusとEnterococcusの検出率、AtopobiumとBifidobacteriumの菌量は、慢性子宮内膜炎群では非慢性子宮内膜炎群に比べ有意に低いことがわかりました。
一方、子宮内腔液および腟分泌物微生物叢におけるLactobacillusの検出率および菌量は、両群間で同程度の値でした。
乳酸菌とは、代謝により乳酸を産生する菌の総称で、Lactobacillus、Lactococcus、Pediococcus、Leuconostoc、Streptococcus、Enterococcus、Atopobium、Bifidobacterium などがあります。
これらの結果から、慢性子宮内膜炎を有する不妊女性の腟分泌物微生物叢は、BifidobacteriumとLactobacillus以外の乳酸産生菌の減少が特徴であることが示唆されました。
この結果は、やや介入的な子宮内手術ではなく、より低侵襲な腟分泌物サンプリングによる慢性子宮内膜炎の予測につながることが期待されます。
コメント
腟分泌物の微生物叢をスクリーニングで分析することは一般的ではないと思いますが、予測(腟内に乳酸菌が少ないから、慢性子宮内膜炎かな?)してから慢性子宮内膜炎の検査を実施したら、効果的で低コストです。