抗リン脂質抗体症候群でAPTTが延長するのはなぜ?

抗リン脂質抗体症候群でAPTTが延長するのはなぜ?

 

「抗リン脂質抗体症候群でAPTTが延長するのはなぜ?」  津田沼IVFクリニック | tsudanuma-ivf-clinicのブログ (ameblo.jp)

 

一次止血

 

怪我で出血している時には、血管の壁が破けて、中の血液が漏れています。

 

血小板は、この破れた箇所を直す働きがあります。

血管は、内膜、中膜、外膜の3層構造になっています。

怪我をすると、これらが損傷して、中の血液が漏れてきます。

損傷を受けた血管内膜の内皮細胞からは、フォンビレブラント因子という血小板と結合する物質が分泌され、

露出した中膜のコラーゲン線維にフォンビレブラント因子を介して血小板が粘着します。

コラーゲンと接触した血小板は活性化し、アデノシン二リン酸やトロンボキサンA2などの血小板凝集作用などを持つ物質を放出します。

血小板同士がフィブリノゲンという物質によって互いに連結され、凝集します。

こうして損傷部位を塞ごうとします。

これを一次止血と言います。

 

血小板をパトカーに例えると、、、

パトロール中に偶然に出くわした血管損傷や出血という事故現場で、フォンビレブラント因子やコラーゲンを見つけたパトカーは、すぐに「粘着」という方法による止血対応を始めます。

しかし、パトカーの数が少なく、粘着の道具も十分でないので、たくさんのパトカーに応援要請をするために、アデノシン二リン酸やトロンボキサンA2などを「放出」します。

 

このアデノシン二リン酸やトロンボキサンA2などの応援要請を受けた多くのパトカーが、現場に集まり、フィブリノゲンという接着剤で「凝集」します。

こうして血栓ができ、止血します。

 

パトカーを血小板に戻すと、、、

露出した中膜のコラーゲン線維にフォンビレブラント因子を介して血小板が粘着します。

コラーゲンと接触した血小板は活性化し、アデノシン二リン酸やトロンボキサンA2などの血小板凝集作用などを持つ物質を放出します。

血小板同士がフィブリノゲンという物質によって互いに連結され、凝集します。

こうして損傷部位を塞ごうとします。

 

 

二次止血

 

怪我で出血している時には、血管の壁が破けて、中の血液が漏れています。

番号をつけられた血液凝固因子が、いつも血液中を流れています。

 

血液凝固因子の第Ⅷ、Ⅸ、Ⅺ、Ⅻ因子が、損傷した血管中膜のコラーゲンのような異物に接触することによって活性化し、内因性凝固が始動します。

怪我により血管外に出た血液は、血管外の組織液と接触することにより凝固因子、第Ⅲ、Ⅶ因子が活性化し、外因性凝固が始動します。

これらの凝固反応により、最終的に第Ⅰ因子フィブリノゲンという接着剤の元になり、固まって網を作ります。

 

一次止血の働きで血管損傷部位に凝集した血小板などを網で覆って、更に損傷部位を強固に塞ごうとします。

これ二次止血と言います。

 

 

活性化部分トロンボプラスチン時間APTTとは

 

内因系の血液凝固能を時間で測定する検査です。

基準値は30~40秒位です。

内因系の血液凝固因子の不足・機能低下で延長します。

 

 

抗リン脂質抗体症候群でAPTTが延長する機序の仮説
            臨床的には凝固亢進し、血栓症を来すのに・・・

 

原発性抗リン脂質抗体症候群(指定難病48) 難病情報センター (nanbyou.or.jp)

リン脂質依存性凝固反応を抑制的に制御しているβ2GPIを阻害する

プロテインCの活性化を阻害する

血管内皮細胞上のトロンボモジュリンやヘパラン硫酸を阻害ないし障害する

凝固抑制に働く血管内皮細胞からのプロスタサイクリン産生を抑制する

血管内皮細胞からのフォンウィルブランド(von Willebrand)因子やプラスミノゲンアクティベータインヒビターの産生放出を増加させる など

APTT法の試薬成分であるリン脂質が、血液中の抗リン脂質抗体の1つであるループスアンチコアグラントに結合し、凝固反応を抑制するため

 

 

抗リン脂質抗体症候群でAPTTが延長する機序

 

機序は不明です。

生体内では、内因系の血液凝固因子は異物に接触することによって活性化し凝固が始動しますが、試験管内では、試薬成分が血液中のループスアンチコアグラントに結合して凝固反応を抑制するため

 とすることが分かりやすいと思います。