モザイク胚の不正確性

モザイク胚の不正確性

 

「モザイク胚の不正確性」  津田沼IVFクリニック | tsudanuma-ivf-clinicのブログ (ameblo.jp)

 

モザイクヒト着床前胚と、その発生可能性
Mosaic human preimplantation embryos and their developmental potential in a prospective, non-selection clinical trial (cell.com)

            正倍数性   異数性20〜   異数性30

                     30%のモザイク  50%のモザイク

妊娠検査陽性率   55.8%      55.0%        55.7%

生化学的妊娠率   10.7%      12.3%        13.7%

流産率         12.0%      11.0%        12.7%

出産率         43.4%      42.9%        42.0%

在胎週数 平均   38.4週     38.2週       38.1

出生時体重 平均  3,286g     3,174g        3,130g

異数性2030%3050%のモザイクが流産率、出産率に影響するという証拠はありません。

 

 

着床前胚染色体異数体検査における胚診断指針
hai_shindan_shishin.pdf (jsog.or.jp)

 

モザイクについて

胚盤胞から5細胞を生検し、1個の細胞にだけ染色体異数性があれば、20%の異数性モザイクとされるため、異数性モザイクは理論的には20%から80%の間に収まります。このように正倍数性細胞と異数性細胞が混在している胚をモザイク胚といいます。

モザイク胚は、移植あたりの妊娠率が低く、流産率が高いとされていますが、生児が得られる場合もあります。しかしながら、モザイクと判定された胚の中にも低頻度モザイクから高頻度モザイクまでモザイク率は様々であり、モザイク変化が単一染色体のみに認められるものから、複数の染色体に認められるものまで多様であることから、それらの胚の移植後の予後予測は容易ではありません。モザイク胚を移植すると、妊娠の不成立、流産の可能性もありますが、妊娠が継続した場合、混在した異数体細胞は淘汰によりその割合が生検時よりも減少しています。結果として染色体異常がなく出生することが十分に期待できますが、モザイク型染色体異常を持った状態で出生し、モザイク頻度によっては表現型を伴う可能性もあります。胎盤だけに異数性細胞が残る場合もあります。

 

 

胚診断の指針 Q&A

1.着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)の結果は正しく胚の状態を反映しているのでしょうか?

胚盤胞生検においては栄養外胚葉細胞を採取しますが、栄養外胚葉細胞は主に胎盤に分化する細胞であり、胎児に分化する内細胞塊とは異なる細胞系列です。PGT-Aにおいては生検で採取した栄養外胚葉細胞の染色体データで、生検せずに残っている胎児側の染色体のデータを予測しています。減数分裂由来の異数性に関しては、栄養外胚葉細胞と内細胞塊とで一致するはずであり、PGT-A100%に近い診断精度があると予想されます。一方で、体細胞分裂由来の異数性の場合は、モザイク頻度が栄養外胚葉細胞と内細胞塊とで異なる場合があり ます。モザイク異数性においては胎児になる内細胞塊では異数性細胞が淘汰されやすく、栄養外胚葉細胞は淘汰を受けにくいので、生検細胞で見られたモザイク異数性が胎児側では見られないことはよく起こります。まれに逆の場合もあります。

2.PGT-Aにおけるモザイク胚の検査精度はどの程度ですか?

PGT-Aにおいて胚盤胞生検をおこなう5日胚が約100細胞からなり、そこからランダムに5細胞を採取して診断すると仮定してください。仮にモザイク率50%の場合であっても、5細胞生検では計算上3%の確率で見落とすことになります。モザイク率20%の場合は33%で見落とします。採取する栄養外胚葉細胞の位置によってモザイク率のデータが異なることもよく見られます。そういう意味では、診断精度がさほど高くない不確実なデータから胚全体のモザイク率を推測せざるを得ないものであると考えておく必要があります。

 

 

コメント

不正確、高額、危険な検査をする前に、妊娠率を高め、流産率を低下させる治療法はたくさんあります。ご相談ください。

そもそも、PGT-Aは検査であって治療ではありません。