アンドロゲン不応症

アンドロゲン不応症

アンドロゲン不応症 概要 小児慢性特定疾病情報センター (shouman.jp)

 

「アンドロゲン不応症」  津田沼IVFクリニック | tsudanuma-ivf-clinicのブログ (ameblo.jp)

 

概念

 

卵巣・精巣や性器の発育が非典型的である状態を性分化疾患(Disorders of Sex Development: DSD)とよぶ。

DSDは、出生時の外陰部異常を中核症状とするが、広義には二次性徴の発来異常も含まれる。

アンドロゲン不応症は、染色体が46, XYで精巣は存在するが、ミュラー管由来構造物(子宮)は存在しない46, XY DSDの一つである。

遺伝子異常によるホルモンの作用異常が原因である。

 

 

病因

 

Xq11-12に存在するアンドロゲン受容体遺伝子(AR)の異常により発症する。

アンドロゲン作用機構の障害のため、種々の程度の男性化障害を呈する。

残存活性により、完全型、不完全型、Reifenstein症候群、男性不妊症に分類される。

 

 

アンドロゲン不応症の臨床的分類のための等級付けを模式的に表したもの 1995QuigleyAISEndoRev.pdf

 

重症度(男性化障害)の高い順に1-7とする。

グレード1: 子宮内での正常な男性化

グレード2:男性化において軽度の欠陥がある男性表現型(例:孤立性尿道下裂)

グレード3:男性化において重度の欠陥がある男性表現型小陰茎、陰茎陰嚢尿道下裂、二分陰嚢および/または停留睾丸

グレード4:クリトリス様陰茎、陰唇陰嚢隆起、単一会陰部開口部を有する重度の曖昧な性器

グレード5:陰唇後方癒合とクリトリス肥大を伴う女性表現型

グレード6/7:女性表現型(成人期に陰毛がある場合はグレード6、成人期に陰毛がない場合はグレード7

 

 

症状

 

外性器異常として女性型(無月経)〜男性型(男性不妊)まで、gender identityを含め種々の程度の男性化障害を呈する。

精巣は存在するが(完全型、不完全型では鼠径部、腹腔内)、ミュラー管由来構造物(子宮)は存在しない。乳房発育がある。

完全型ではアンドロゲン不応のため、外性器は完全に女性型であり、体型、性格も女性的である。不完全型では矮小陰茎、陰核肥大、陰唇癒合などの男性化が認められる。

 

 

 

検査

 

染色体は46, XY。内分泌検査では、LHFSH上昇、テストステロン正常〜上昇、E2は正常男性より高値、などが認められる

 

診断

 

上記の症状、検査所見により診断するが、遺伝子診断により確定される

 

 

治療

 

女児として養育された場合、精巣摘出、腟形成を行い、思春期以降はエストロゲンの補充を行う。

精巣摘出は精巣の腫瘍化リスクがあるために行うが、アンドロゲンから変換されたエストロゲンが2次性徴を誘導するため、思春期前の摘出は避けるとの意見もある。

男児では、外陰形成術や乳房縮小術を行う。陰嚢外の精巣は腫瘍化リスクがあるため、摘出を検討する。

 

 

予後

 

残存活性により、症状、内分泌検査所見には幅がある。

養育性は一般に、外性器の表現形により決定される。

X連鎖劣性遺伝であるため、患者同胞の女性の50%が無症状キャリアの可能性があり、遺伝相談も重要である

 

 

コメント

 

まれな疾患の方が生きやすく、また、より良い医療を受けるためには、多くの国民がまれな疾患や難病のことを良く知り、理解することが重要と思います。