2023/02/04
原発性抗リン脂質抗体症候群
原発性抗リン脂質抗体症候群(指定難病48) – 難病情報センター (nanbyou.or.jp)
「原発性抗リン脂質抗体症候群」 津田沼IVFクリニック | tsudanuma-ivf-clinicのブログ (ameblo.jp)
<診断基準>
臨床基準の1項目以上が存在し、かつ検査項目のうち1項目以上が存在するとき、抗リン脂質抗体症候群(APS)とする。
臨床基準
1.血栓症
画像診断、あるいは組織学的に証明された明らかな血管壁の炎症を伴わない動静脈あるいは小血管の血栓症
l いかなる組織、臓器でもよい
l 過去の血栓症も診断方法が適切で明らかな他の原因がない場合は臨床所見に含めてよい
l 表層性の静脈血栓は含まない
2.妊娠合併症
①妊娠10週以降で、他に原因のない正常形態胎児の死亡、
②(i)子癇、重症の妊娠高血圧腎症(子癇前症)、若しくは
(ii)胎盤機能不全による妊娠34週以前の正常形態胎児の早産、又は
③3回以上つづけての、妊娠10週以前の流産(ただし、母体の解剖学的異常、内分泌学的異常、父母の染色体異常を除く。)
検査基準
1. International Society of Thrombosis and Hemostasisのガイドラインに基づいた測定法で、ループスアンチコアグラントが12週間以上の間隔をおいて2回以上検出される。
2. 標準化されたELISA法において、中等度以上の力価の(>40 GPL or MPL、又は>99パーセンタイル) IgG型又はIgM型のaCLが12週間以上の間隔をおいて2回以上検出される。
3. 標準化されたELISA法において、中等度以上の力価 (>99パーセンタイル)のIgG型又はIgM型の抗β2-GPI抗体が12週間以上の間隔をおいて2回以上検出される。
(本邦では抗β2-GPI抗体の代わりに、抗カルジオリピンβ2-GPI複合体抗体を用いる。)
治療法
続発性のAPSでは、原疾患に対する治療とともに抗凝固療法を行う。原発性の場合には抗凝固療法が主体となる。抗凝固療法は、抗血小板剤(低容量アスピリン、塩酸チクロピジン、ジピリダモール、シロスタゾール、PG製剤など)、抗凝固剤(ヘパリン、ワルファリンなど)、線維素溶解剤(ウロキナーゼなど)などを含み、病態に応じ選択される。
副腎皮質ステロイドと免疫抑制薬は、基礎疾患にSLEなどの自己免疫疾患がある場合や、catastrophic APSなどに併用される。これらの免疫抑制療法はaPLの抗体価を低下させるが、副腎皮質ステロイドの高用量投与は易血栓性をみるため注意が必要である。その他、病態に応じ血漿交換療法やガンマグロブリン大量静注療法が併用される。
治療法 一部抜粋
抗血小板剤
低容量アスピリン
抗凝固剤
ヘパリン
でも・・・
低用量アスピリン 効能または効果
保険適用なし
○下記疾患における血栓・塞栓形成の抑制
・狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)
・心筋梗塞
・虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞)
○冠動脈バイパス術(CABG)あるいは経皮経管冠動脈形成術(PTCA)施行後における血栓・塞栓形成の抑制
○川崎病(川崎病による心血管後遺症を含む)
ヘパリンカルシウム製剤のAPS合併妊娠への保険適用につきましては、 2010年3月に日本産科婦人科学会から厚生労働省へ要望書が出され、2011年9月に厚生労働省保険局医療課長通知により、医師等による投与が保険適用となりました。
Microsoft Word – HPCA(H2310)_final.doc (mochida.co.jp)
APSに該当する習慣流産患者に対する治療法では低用量アスピリン(~100mg/day)と未分画ヘパリン(5,000~10,000単位/day)の併用療法のみで有効性が確立している。
gl_sanka_2020.pdf (jsog.or.jp)
APSに該当する習慣流産の患者にヘパリン・アスピリン併用療法として用いる場合にのみ保険適用とされている。
2.低用量アスピリン療法の適応について – 日本産婦人科医会 (jaog.or.jp)
調べた限りでは、他は保険適用なし
コメント
低用量アスピリンの保険適用の有無は定かではありませんが、APSにヘパリン・アスピリン併用療法は有効とされています。
ということは、
「10週以降の胎児死亡、子癇、重症の妊娠高血圧腎症(子癇前症)、胎盤機能不全による34週以前の早産、3回以上つづけての10週以前の流産」などが起こる前に、ループスアンチコアグラント、aCL、抗β2-GPI抗体を自費で測定し、自費でヘパリン・アスピリン併用療法をするという発想もあるかも知れません。