レトロゾールが保険で使用できるようになりました

レトロゾール(アロマターゼ阻害剤)

排卵誘発剤として保険で使用できるようになりました。

 

「レトロゾールが保険で使用できるようになりました」  津田沼IVFクリニック | tsudanuma-ivf-clinicのブログ (ameblo.jp)

 

添付文書 抜粋

レトロゾール錠2.5mg「F」.pdf

 

効能又は効果

○ 生殖補助医療における調節卵巣刺激

○ 多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発

○ 原因不明不妊における排卵誘発

 

用法及び用量

 通常、1日1回2.5mgを月経周期3日目から5日間経口投与する。十分な効果が得られない場合は、次周期以降の1回投与量を5mgに増量できる。

血漿中エストロゲン濃度抑制作用

 レトロゾール112.5mgを連日経口投与することにより、血漿中エストラジオール濃度は、投与4週時点で定量下限値付近まで低下し、投与期間中その効果は持続した。

 

 

エストロゲン(女性ホルモン)は、コレステロールからアンドロゲンを経由して産生されます。

 

 

2-cell,2-gonadotropin theory

 

 食事で摂取されたコレステロールが卵巣に取り込まれると、卵胞壁を構成する莢膜細胞で黄体化ホルモンの作用によりアンドロゲンが産生されます。

 このアンドロゲンが基底膜を通って顆粒膜細胞に移動し、卵胞刺激ホルモンの作用により活性化されたアロマターゼの働きで、エストロゲンに転換されます。

 これを2-cell,2-gonadotropin theoryと言います。

レトロゾールなどのアロマターゼ阻害薬は、主としてこの卵巣の顆粒膜細胞に局在するアロマターゼに作用し、アンドロゲンからのエストロゲン産生を低下させます。

 

 

ネガティブフィードバック

 

エストロゲンが充分に存在すると、視床下部の性腺刺激ホルモン放出ホルモンや、下垂体の卵胞刺激ホルモン・黄体形成ホルモンの分泌が抑制され、エストロゲンが減少します。これをネガティブフィードバックと言います。

逆にエストロゲンが低下すると、このネガティブフィードバックが阻害され、性腺刺激ホルモン放出ホルモンや、卵胞刺激ホルモン・黄体形成ホルモンの分泌が増加し、卵胞が発育してエストロゲンが増加します。

レトロゾールなどのアロマターゼ阻害薬によりエストロゲン産生が低下すると、このネガティブフィードバックが阻害されることにより、卵胞刺激ホルモンや黄体形成ホルモンの分泌が増加して卵胞発育を促します。

 

 

レトロゾールについて

 

 血中半減期が約45時間と比較的短いことなどを理由に、内服終了後に速やかにネガティブフィードバックが回復します。

 主席卵胞の成熟によりエストロゲンが上昇すると、ネガティブフィードバックにより卵胞刺激ホルモンが抑制されて小卵胞の閉鎖が起こり、単一の成熟卵胞の排卵がもたらされます。

 子宮頸管粘液の減少や子宮内膜の菲薄化は起こりません。

 卵巣内のアンドロゲンが増加します。

 多嚢胞性卵巣症候群、特に肥満症例で、排卵率、生児出産率高いとされます。

 乳癌や子宮内膜癌などに罹患した症例で、エストロゲン濃度の上昇を避ける時に使用されることがあります。

 卵胞径が小さくても排卵することがあります。

 排卵抑制効果がなく、体外受精の際に採卵時期を逃すことがあります。

 疲労やめまいなどの副作用が出現することがあります。

 

 

アンドロゲンの効果

 

 卵巣内のアンドロゲンの上昇は、初期卵胞発育を促進して顆粒膜細胞の増殖、発育卵胞数の増加、下垂体性ゴナドトロピンへの感受性の改善、閉鎖卵胞の抑制等をもたらします。

 

 

コメント

 

内服の排卵誘発剤には、クロミフェン(クロミッド®)、シクロフェニル(セキソビット®)、レトロゾールの3種類があります。

検査結果、治療歴、体格などを考慮して、患者さんに合った薬剤をご提案します。