高プロラクチン血症の診断は?

高プロラクチン血症の診断は?

 

プロラクチン(PRL)値が基準値を超え、異常高値を示すものを高プロラクチン血症といいます。

PRL値は生理的変動が大きくあります。

 

「高プロラクチン血症の診断は?」  津田沼IVFクリニック | tsudanuma-ivf-clinicのブログ (ameblo.jp)

 

1.月経異常や乳汁漏出がある場合にはPRL測定を行います。

 

 高PRL血症は一般人で0.4%、卵巣機能異常で917%、無月経で21.7%にみられます。

 無月経と乳汁漏出の3分の2は高PRL血症です。その3分の1はプロラクチノーマを有します。

 無月経で乳汁漏出の無い婦人の高PRL血症頻度は15%程度、月経異常なく乳汁漏出のみを呈する婦人の50%は正常PRL値を示します。

 乳汁漏出を有する婦人の3分の1は正常月経周期をもちます。

 PRLは睡眠、運動、食事・飲水、精神的ストレス、妊娠、授乳、乳房刺激などの生理的要因によっても上昇をもたらす。

 高PRL血症を起こす比較的頻度の高い疾患としては、プロラクチノーマ(34.3%)、Argonzdel-Castillo症候群(17.8%)、Chiari-Frommel症候群(12.8%)、原発性甲状腺機能低下症(5.2%)、Acromegalyに伴うもの(4.4%)、間脳腫瘍(2.6%)などがあげられます。

 

薬剤によるものが8.6%にみられます。

比較的まれな疾患としてはサルコイドーシス、ヘルペスや胸部手術などの胸壁疾患、そのほか慢性腎不全や、肝硬変、てんかんなどがあります。

PRL値は変動しやすく、夜間、食後および排卵期周辺などで高くなるため、月経終了7日以内に、起床後数時間後で食事前、午前10時から11時ぐらいに採血するのが望ましいです。

PRL値が高いにもかかわらず月経異常や乳汁分泌がみられない場合は再検する必要があります。

症状がない高PRL血症の場合、生物活性と免疫活性が解離する場合があります(マクロプロラクチン血症)。その場合、症状がない限り治療を必要としません。

 

 

2.PRL値が高い場合、甲状腺機能検査も行います。

 

甲状腺機能低下が原因のことがありますので、甲状腺刺激ホルモン、甲状腺ホルモンなどの甲状腺機能検査も行います。

 

 

3.‌薬剤服用(精神科、内科)、甲状腺疾患症状の有無、頭痛、視野狭窄の有無を問診します。

 

問診では月経の状況以外に、妊娠の除外、最近の体重変化、薬物服用の有無、寒がり、皮膚乾燥などについて確認します。

服用薬剤で原因となるのは精神科、消化器科系薬剤が多く、中でも抗ドパミン剤(スルピリドなど)によるものが多いです。スルピリドは中枢神経薬以外に抗潰瘍薬としての適応もあります。

近年抗うつ薬として使用されることが多いSSRI/SNRIや、H2ブロッカーやメトクロプラミド、経口避妊薬を含むエストロゲン製剤でも高プロラクチン血症を起こします。

 

 

4.乳汁漏出の有無は左右とも確認します。

 

 乳汁分泌の有無と程度を確認します。乳汁漏出は本人が自覚する程度から医師が手指で圧迫しないとわからないものまでさまざまですが高PRL血症の5080%に認められます。

 

 

5.PRL異常高値の場合は視床下部・下垂体腫瘍を精査します。

 

 一般にPRL値が正常上限から100ng/mL程度の場合は薬剤性や機能的な場合が多いですが、ミクロアデノーマも否定できません(径10mm未満の下垂体腫瘍をミクロアデノーマ、以上のものをマクロアデノーマといいます)。PRL150ng/mL以上の大部分はプロラクチノーマです。マクロアデノーマの典型例は250ng/mL以上で時に1,000ng/mLを超える場合もあります。複数回連続しての検査で100ng/mL以上の時は、腫瘍性疾患の可能性を考えてMRIを行い、内分泌内科医または脳神経外科に紹介を検討します。

 

 

PRL血症の治療は?

 

1.視床下部性に対しては、ドパミン作動薬による治療を行います。

 

 治療対象はマクロアデノーマ全例とミクロアデノーマの一部、高PRL血症に起因する月経異常を伴う不妊症、神経障害を有する下垂体腺腫、長年の卵巣機能不全などです。

 正常月経周期と容認できる程度の乳漏症を有する閉経前女性、容認できる程度の乳漏症と特発性高PRL血症あるいはミクロアデノーマを有する閉経後女性の場合は再評価の後、積極的治療は行いません。経時的観察は必要です。

 

 

2.薬剤性の場合は中止、減量または変更に関して処方医と相談します。

 

治療方針は年齢、挙児希望の有無によって異なります。原因を特定した場合はまず原疾患の治療を行います。薬剤性の場合は中止あるいは減量または処方の変更を当該薬剤処方医と相談しますが、その際、原疾患との治療優先順位を考慮します。甲状腺機能低下症の場合は甲状腺ホルモン補充により、卵巣機能は回復します。視床下部障害の場合はドパミン作動薬によりPRL値は低下し卵巣機能は回復します。

閉経に伴ってPRL値は正常化する場合が多いので治療の継続の可否については再評価する必要があります。

 

 

3.‌プロラクチノーマの場合、内分泌内科医または脳神経外科医と相談し、主としてドパミン作動薬による治療を行います。

 

 プロラクチノーマの場合はドパミン作動薬を用いた薬剤療法か外科療法の選択となります。基本的にはミクロアデノーマ、マクロアデノーマにおいてもドパミン作動薬による治療が第1選択です。プロラクチノーマの場合の薬剤による治療期間は最低1年必要です。しかしどこまで続けるべきかについては、結論は得られていません。3年の治療後にPRL値が正常化し、腫瘍サイズが著明に縮小した場合は減量あるいは中止に向かってよいと考えられています。妊娠が判明したときは薬剤治療を中止します。各薬剤は妊娠中投与のカテゴリーは有益時、安全性未確立であるので、妊娠高血圧症候群、子癇前症、子癇、産褥高血圧症で特別な理由がない限り投与すべきでありません。しかし、妊娠中にPRL値が生理的増加をはるかに超える場合、妊娠中に視野狭窄など下垂体腫瘍の増大を示唆する場合は投与継続もやむを得ません(妊娠中の増悪:ミクロアデノーマ 2.6%マクロアデノーマ 31%)。しかし実際にはブロモクリプチンやカベルゴリンの妊娠への影響はほとんどないともいわれています。正常妊娠中のPRL値は非妊時に比べて20200ng/mL程度上昇します。妊娠中のPRL値の評価は正常妊娠中の変動を勘案して行います。正常分娩後、授乳中のPRL値は約150200ng/mLから急激に50100ng/mL程度まで下降し、その後数週間は吸綴刺激で約100ng/mL程度まで上昇します。以後、授乳中は30ng/mL程度で推移し、月経発来に至ります。授乳中にPRL値が正常変動を超えて上昇 したり、症状が悪化したりする場合は授乳を中止し薬物療法を行います。

 

 

4.‌下垂体卒中、視力視野障害を起こす腫瘍、薬剤抵抗例、薬剤療法不耐応例などは、脳神経外科医に紹介します。

 

外科療法は経蝶形骨洞下垂体腺腫摘出術(Hardy手術)などが行われます。手術適応は下垂体卒中、視力視野障害を起こす腫瘍、薬剤抵抗例、薬剤療法不耐応例です。Hardy手術は必ずしも完治に結びつくわけでなく、再発例もしばしばみられます。ミクロアデノーマの成功率は約75%、特にPRL200ng/mL以下、無月経期間の短い場合、成功率が高いです。マクロアデノーマの場合、成功率は低いです。特に下垂体外進展の場合、手術による完治は難しいです。最近、先端施設ではガンマナイフを用いた局所放射線療法が行われています。挙児希望のある患者で治療により排卵周期が回復しない場合は一般不妊治療に準じます。ただし、ゴナドトロピン療法では、内因性エストロゲンの増加によりプロラクチノーマが増大することがあるので頭痛、視野狭窄に注意を要します。

ブロモクリプチンは長年にわたり使用され、またカベルゴリンは最近、最も有効性とコンプライアン スのよい薬物として広く使用されてきました。しかし、これらドパミンアゴニストでは、近年、カベルゴリンによる高プロラクチン血症の治療において心臓三尖弁弁膜に対する影響が報告されています。一方で、その影響を否定する報告も散見されていますが、現時点ではドパミンアゴニストの使用は最少可能量にすることが望ましいと考えられ、かつ心臓弁膜症の症状についても注意を払う必要があります。

 

 

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PRLが約40ng/mL以上の時は、カベルゴリンの処方、100ng/mL以上の時は脳のMRIを撮影します。