2022/12/12
子宮鏡手術で子宮内病変ありと診断された患者における慢性子宮内膜炎(CE)の有病率と危険因子
「子宮内病変と慢性子宮内膜炎」 津田沼IVFクリニック | tsudanuma-ivf-clinicのブログ (ameblo.jp)
表1 子宮鏡手術を受けた不妊症の女性における慢性子宮内膜炎の有病率
子宮内病変のない女性、子宮内膜ポリープ、粘膜下筋腫、子宮内癒着、および中隔子宮を有する女性におけるCD138陽性細胞によるCEの有病率は、それぞれ15.7%、85.7%、69.0%、78.9%、および46.2%でした。慢性子宮内膜炎は、対照群よりも子宮内病変のある女性でより頻繁に診断されました(P<.0001)。
ラクトバチルス属菌およびビフィドバクテリウム属菌の検出率には5群間で有意差は認められませんでした(P=0.62)。しかし、他の細菌の検出率は、対照群よりも子宮内病変のある群で高値でした(P = 0.009)。
子宮内膜ポリープはCEの病因に強く関与するとされています。
粘膜下筋腫、子宮内癒着、または中隔子宮の女性の52.6%に子宮内膜ポリープが検出されました。粘膜下筋腫、子宮内癒着、および中隔子宮群の子宮内膜ポリープのない女性におけるCEの有病率は、それぞれ30.8%、76.2%、および0%でした。
子宮内膜ポリープは、CD138陽性細胞数を増加させる要因となる可能性があります。
表2 慢性子宮内膜炎患者における子宮内病変の危険因子
慢性子宮内膜炎は、子宮内膜ポリープと子宮内癒着で頻繁に診断されました。
表3 子宮鏡手術後の慢性子宮内膜炎からの回復率
子宮内膜ポリープ、粘膜下筋腫、子宮内癒着、中隔子宮の女性では、CEからの回復率は
それぞれ89.7%、100%、92.8%、83.3%でした。
抗生物質を使用しない子宮鏡下ポリープ切除術により、子宮内膜ポリープを含むCEの
ほとんどの症例が治癒します。
子宮鏡手術によりCD138陽性細胞数が35.4から2.0に減少しました(P<0.0001)
まとめ
・子宮内膜ポリープと子宮内癒着は慢性子宮内膜炎の危険因子でした。
・子宮内病変を有する慢性子宮内膜炎の多くは、抗生物質治療を行わず子宮鏡手術で治癒しました。
・津田沼IVFクリニックでは、子宮鏡検査を全員に実施し、子宮鏡手術が必要な場合には日帰りでおこなっています。