2022/11/01
妊娠中の花粉症薬
「妊娠・授乳と薬」
平成 24 年 12 月 社団法人 愛知県薬剤師会 妊婦・授乳婦医薬品適正使用推進研究班 発行
Microsoft Word – H24.11.05修正反映 (boku-clinic.com)
「妊娠中の花粉症薬」 津田沼IVFクリニック | tsudanuma-ivf-clinicのブログ (ameblo.jp)
妊娠時には、女性ホルモンの分泌が増加して、循環血液や体内貯留水分の量が増加します。
毛細血管抵抗の減少もあって、血管壁が拡張し、鼻粘膜の充血や腫れが起こってきます。
妊娠中の女性は、鼻づまりが悪化しやすく、妊娠性鼻炎という言葉もあります。
花粉症の場合は、マスクやめがねを利用して、抗原である花粉に接しないようにするこ とも重要です。
薬物療法を選択する場合は、まず、抗アレルギー薬のクロモグリク酸ナトリウムや抗ヒスタミン薬などの点鼻薬を選択します。クロモグリク酸ナトリウムは、催奇形性は動物でもヒトでも報告されていません。吸入剤として利用することで母体血中濃度が上昇しないため、妊娠中の女性に使いやすいです。
ステロイド剤でも点鼻製剤は、利用できます。
第二世代の抗ヒスタミン薬では、ロラタジンやセチリジン塩酸塩、フェキソフェナジン塩酸塩などが、疫学調査などから催奇形性は否定的です。
市販薬にも含まれているナファゾリン塩酸塩やテトラヒドロゾリン塩酸塩などの血管収縮薬は、子宮収縮の作用も持つため、注意が必要です。
商品名の一例 添付文書 オーストラリア基準
ロラタジン クラリチン (1)投与を避ける B1
セチリジン塩酸塩 ジルテック (2)有益性投与 B2
フェキソフェナジン塩酸塩 アレグラ (3)有益性投与 B2
(1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、投与を避けることが望ましい。
(2)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
(3)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
カテゴリーB1:限られた数の妊婦および妊娠可能年齢の女性によってのみ摂取された薬物で、奇形の頻度の増加またはヒト胎児に対する他の直接的または間接的な有害な影響が観察されていない。動物における研究は、胎児の損傷の増加の発生の証拠を示していない。
カテゴリーB2:限られた数の妊婦および妊娠可能年齢の女性によってのみ摂取された薬物で、奇形の頻度の増加またはヒト胎児に対する他の直接的または間接的な有害な影響が観察されていない。動物における研究は不十分であるか、または欠けているかもしれないが、利用可能なデータは胎児の損傷の増加の発生の証拠を示さない。
添付文書
ナファゾリン塩酸塩:妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると 判断される場合にのみ使用すること。
テトラヒドロゾリン塩酸塩:妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。
出典によってかなり内容が異なっています。
津田沼IVFクリニックでは、内服薬はセチリジン、点眼・点鼻液はザジテンを主に使用しています。
花粉症の患者さんは多く、つらい症状にとてもお困りと思います。
妊娠のために治療を中断する前に、薬のご相談をください。