PGT-Aで累積出産率は増えず妊娠の日が遠くなります(37歳未満)

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着床前遺伝子検査による異数性の有無を問わず体外受精を行った37歳以下の女性における累積出産率
Cumulative live birth rate in women aged ≤37 years after in vitro fertilization with or without preimplantation genetic testing for aneuploidy: a Society for Assisted Reproductive Technology Clinic Outcome Reporting System retrospective analysis (fertstertreports.org)

PGT-A;着床前胚染色体異数性検査

 

「PGT-Aで累積出産率は増えず妊娠の日が遠くなります(37歳未満)」  津田沼IVFクリニック | tsudanuma-ivf-clinicのブログ (ameblo.jp)

 

35歳未満では、PGT-Aは累積出産率の減少と関連していました。

35~37歳では、PGT-Aと累積出産率の間に関連は認められませんでした。

全体では、流産率に有意差はありませんでした。

多胎率はPGT-Aで低値でした。しかし、PGT-Aは多胎の独立した予測因子ではありませんでした。

出産に至る妊娠までの平均期間は、未検査の移植では2.37カ月であったのに対し、PGT-Aによる移植では4.58カ月でした。

 

PGT-Aをしても、胚移植あたりの継続妊娠に差はありません。

PGT-Aをしてもしなくても、初回胚移植後の出産率、累積出産率、および流産率に有意差はなく、PGT-Aの使用を支持する証拠は不十分です。

PGT-Aには、検査費用の増加、生検中またはその後の胚の損傷のリスク、検査ミスのリスクなどがあります。

生検結果は健康な生児につながる胚を反映しない場合があり、良い胚が廃棄されるリスクがあります。

 

PGT-Aと未検査の胚を比較した結果

 

全体

        PGT-A  未検査  オッズ比

累積出産率     68.7  69.0  0.92

多胎妊娠率   9.5  23.1  1.11

流産率     7.4  7.6  0.97

児体重     3340g  3258g

28週前早産   1.1  1.2

32週前早産   2.4  2.6

周産期死亡率  0.5  0.6

 

35歳未満

       PGT-A 未検査 オッズ比

累積出産率  70.6  71.1  0.82

多胎妊娠率  8.7  23.2  0.83

流産率    7.0  7.0  1.08

妊娠までの期間 4.53ヵ月  2.38ヵ月

 

35~37歳

       PGT-A 未検査 オッズ比

累積出産率  66.6  62.5  1.14

多胎妊娠率  10.5  22.8  1.67

流産率     7.9  9.5  0.77

妊娠までの期間 4.63ヵ月 2.35ヵ月

 

体外受精開始から出産に至る妊娠までの平均期間は、未検査の移植周期において有意に短期でした(平均差2.2ヶ月)。

PGT-Aの使用による流産率は、35歳未満では未検査胚と比較して有意差は認められませんでした。

若年層に対し、「PGT-Aが流産率を低下させる」と提案することは慎重を期すべきです。

 

 

37歳以下の患者におけるPGT-A

Preimplantation genetic testing for aneuploidy in patients under 37: easy come, easy go (fertstertreports.org)

 

35歳未満の女性におけるPGT-Aは未検査胚の移植と比較して低い累積出産率と関連する上に、35-37歳の女性には利益を与えません。つまり、37歳未満の女性におけるPGT-Aの累積出産率への有益性は示されていません。

PGT-Aの追加費用、妊娠までの時間の増加、および栄養外胚葉生検による妊娠高血圧症候群のリスクの増加の可能性について、すべて徹底的に議論する必要があります。

 

 

まとめ

 

PGT-Aの危険性を良く知りましょう。

安全に出産することが大切です。