2022/08/04
妊娠高血圧症候群のリスクって下げられるの?
1.妊娠時の肥満はリスクです!
妊娠中の体重増加ではありません。
そもそも妊娠高血圧症候群の原因は?
受精卵が着床する時には、子宮内膜に絨毛(胎盤の元)が侵入していきます。この侵入が十分でないと、胎盤の形成が悪くなります。この妊娠初期の胎盤形成不全が妊娠中期以降の胎盤機能低下につながり、妊娠高血圧症候群の原因とされています。
2.抗リン脂質抗体を調べてみましょう。
陽性の場合:妊娠が判明したらすぐ、アスピリンとヘパリンを開始しましょう。胎盤が完成する妊娠16週までは使いましょう。
3.アスピリンを使いましょう。
抗リン脂質抗体が陰性でも:妊娠が判明したらすぐ、アスピリンを開始しましょう。妊娠前から服用する必要はありません。
アスピリンは妊娠高血圧症候群以外にも、早産や子癇のリスクを低下させます。
4.ヘパリンを使いましょう。
ヘパリンには、着床促進作用、胎盤形成促進作用があります。
他にも、反復着床不全治療や、子宮内胎児発育遅延予防に効果があります。採卵、または胚移植時からのヘパリンの使用により、妊娠率、出生率の改善が報告されている一方、これらは血栓性素因を有する反復着床不全の場合で、原因不明の反復着床不全での効果は確認されていないという報告もあります。
5.多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)はリスクです。
PCOSでは、妊娠高血圧症候群と子癇前症のリスクが3-4倍、妊娠糖尿病のリスクが3倍、早産の可能性が2倍高いことが示されています。
6.ホルモン補充周期、自然周期
凍結融解胚移植において、ホルモン補充周期は自然周期と比べて、妊娠高血圧症候群1.90倍、子癇前症2.11倍、産褥出血2.53倍、帝王切開1.62倍でした。
7.PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)はリスクです。
体外受精+PGT妊娠では、PGTを行わない体外受精妊娠と比較して、子癇前症のリスクが統計的に有意に増加し、発生率は10.5%対4.1%と3.02倍でした。
前置胎盤の発生率は、IVF+PGT妊娠では5.8%、PGTなしのIVF妊娠では1.4%と4.56倍でした。
8.葉酸を摂りましょう。
妊娠高血圧症候群、胎児発育遅延や早産、常位胎盤早期剥離のリスクを減少させます。
9.Lアルギニンを摂りましょう。
子癇前症のリスクを有する女性において、L-アルギニンはプラセボと比較した場合、子癇前症の減少0.34倍、および早産リスクの減少0.48倍と関連しました。高血圧性疾患が確立している女性では、L-アルギニンは子癇前症の減少と関連していました(0.21倍)。L-アルギニンは、子癇前症の予防および/または治療に役割を果たす可能性があります。
The role of L-arginine in the prevention and treatment of pre-eclampsia: a systematic review of randomised trials | Journal of Human Hypertension (nature.com)
10.双子はリスクとなります。
双胎の場合、妊娠高血圧症候群のリスクは単胎に比べて約3倍になります。
11.男の子、女の子
妊娠高血圧症候群は胎児が男の子の時に起こりやすくなります。
でも、こればかりはどうにもなりませんが・・・。
「妊娠高血圧症候群のリスクって下げられるの?」 津田沼IVFクリニック | tsudanuma-ivf-clinicのブログ (ameblo.jp)