黄体形成ホルモンLHの重要性

黄体形成ホルモンLHの重要性

 

 

LHは脳の下垂体前葉から分泌されるホルモンです。卵巣からの排卵を誘発し、黄体ホルモンの分泌を促し、子宮内膜の成熟や妊娠の維持等に非常に重要な役割を果たしています。

 

 

「個別化」医療時代における生殖補助医療の成果に対する卵胞刺激ホルモン(FSH)単独、FSH+黄体形成ホルモン、ヒト更年期ゴナドトロピン、FSH+ヒト絨毛性ゴナドトロピンの有効性

Frontiers | Efficacy of Follicle-Stimulating Hormone (FSH) Alone, FSH+Luteinizing Hormone, Human Menopausal Gonadotropin or FSH+Human Chorionic Gonadotropin on Assisted Reproductive Technology Outcomes in the “Personalized” Medicine Era: A Meta-analysis (frontiersin.org)

FSH単独 vs FSHLH vs hMG vs FSHhCG

 

FSH単独投与はFSHLHhMGよりも多い採卵数を示しました。

FSH単独投与はFSHLHFSHhCGhMGと比較して、成熟卵数に変化はありませんでした。

hMGを用いた場合、受精卵数および着床率が高値でした。

妊娠率は FSH + LH 投与群でその他群に比べ有意に高値でした。

 

調節卵巣刺激では、FSH単独で、採卵数が多くなります。

HMGは成熟卵数、受精卵数を増やし、着床率を高めます。

一方、LH添加により、妊娠率が高くなります。

 

 

卵巣刺激時の黄体形成ホルモン/卵胞刺激ホルモン/ゴナドトロピン比率の「スイートスポット」の定義と臨床的に重要な卵胞後期のプロゲステロン上昇の防止

Defining the “sweet spot” for administered luteinizing hormone-to-follicle-stimulating hormone gonadotropin ratios during ovarian stimulation to protect against a clinically significant late follicular increase in progesterone: an analysis of 10,280 first in vitro fertilization cycles – Fertility and Sterility (fertstert.org)

 

LHを投与しない刺激では、P上昇≧1.5 ng/mLのリスクが最も高値でした(相対リスク=2.0)。

P上昇のリスクが最も低かったのは、LHFSHの比率が0.300.60の場合でした(20%)。

一方、LHの投与量が比例して少なくなる0.30未満の比率では、0.60以上の比率(23%)と同様に早期P上昇のリスクが増加しました(32%)。

0.30~0.60の範囲で最もリスクが低いというこのパターンは、低反応、正常、高反応を特徴とする周期にも当てはまりました。

 

LH 投与がない、あるいは不十分な場合、卵胞後期の P 値が上昇し、最適な治療成績が得られないリスクがあります。

LHとFSHの比率が0.30:0.60であれば、P値上昇のリスクは最も低くなります。

ゴナドトロピンの投与量を決定する際には、このパラメータの最適化を考慮する必要があります。

 

 

体外受精を受ける患者におけるHP-hMGまたは遺伝子組み換えFSHによる卵巣刺激が胚の質に与える影響について

Influence of ovarian stimulation with HP-hMG or recombinant FSH on embryo quality parameters in patients undergoing IVF | Human Reproduction | Oxford Academic (oup.com)

HP-hMG;highly purified human menopausal gonadotropin

高純度ヒト下垂体性性腺刺激ホルモン

 

良好胚の割合は、HP-hMG11.3%)がrFSH9.0%)に比べて高値でした(P = 0.044)。

HP-hMGでは、胚盤胞の数と断片化の程度に有意差が認められましたが、胚盤胞の大きさの均一性、断片の局在、多核化の頻度、均一な細胞質は、rFSHと同程度でした。

良好胚の生産率、継続妊娠率、継続着床率は、rFSHよりもHP-hMGで高値でした[48 vs 32% (P = 0.038)48 vs 32% (P = 0.038)41 vs 27% (P = 0.032)]

凍結保存後に胚盤胞が50%以上残っている胚の割合と有糸分裂を再開した胚の割合は、HP-hMGの方がrFSHより高値でした。

 

 

35歳以上の女性における人工授精の高純度hMGと遺伝子組換えFSHLHの比較

Highly purified hMG versus recombinant FSH plus recombinant LH in intrauterine insemination cycles in women ≥35 years: a RCT | Human Reproduction | Oxford Academic (oup.com)

 

主な結果の指標は、継続妊娠率と卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の高リスクのための中断周期数でした。

継続妊娠率は、リコンビナント群48/29017.3%)に対してHP-hMG35/28912.2%)[(オッズ比(OR1.5095CI 0.94-2.41, P = 0.09] でした。

OHSSのリスクが高い場合の中断周期数は、rFSHrLH13/2904.5%)、HP-hMG2/2890.7%)でした(OR 6.73, 95% CI 1.51-30.12, P = 0.013 )。

 

 

反応不良者に対する新たな戦略としてのLH前処置

LH Pretreatment as a Novel Strategy for Poor Responders (hindawi.com)

 

材料と方法

本研究は2つのセクションで構成されています。

1つは、過去に少なくとも2回の周期で卵巣反応不良を起こした(周期中止を意図した、あるいは採卵数が3個以下の)43名の若年患者を対象とした無作為化対照試験のデータです。

A群(対照群)はFSH400IU/日)を投与し、B群は150IU r-LH4日間投与し、その後400IU r-FSH/GnRhアゴニストで毎日ダウンレギュレーションする新しい刺激プロトコルを投与しました。

2つ目は、新しいプロトコルで治療された65人の患者の全体的な結果を、従来の周期による以前の成績(ヒストリカルコントロール)と比較したデータです。

結果

RCT とヒストリカルコントロールの両方で、LH 前処置はキャンセル率を下げ、in vitro での成績を向上させ、生児率を有意に増加させることができました。

結論

LH 前処置は、ボローニャ基準で選択された若年反復反応不良者の卵子の量と質を改善しました。

 

 

反応不良患者に対する新たな戦略としてのLH前処置(1)
Table 1 | LH Pretreatment as a Novel Strategy for Poor Responders (hindawi.com)

採卵数に有意差を認めました。

 

 

反応不良患者に対する新たな戦略としてのLH前処置(2)
Table 2 | LH Pretreatment as a Novel Strategy for Poor Responders (hindawi.com)

分割率、移植率、出生率に有意差を認めました。

 

 

反応不良患者に対する新たな戦略としてのLH前処置(3)
Table 4 | LH Pretreatment as a Novel Strategy for Poor Responders (hindawi.com)

着床率、出生率に有意差を認めました。

 

 

GnRHアゴニストダウンレギュレーションによる体外受精治療において遺伝子組換えFSHの反応が不十分な症例に対する遺伝子組換えLH補充法の評価

The evaluation of recombinant LH supplementation in patients with suboptimal response to recombinant FSH undergoing IVF treatment with GnRH agonist down-regulation: Gynecological Endocrinology: Vol 31, No 2 (tandfonline.com)

 

rLHの補充は、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の患者、またGnRHアゴニスト周期中のFSH単独療法に対する低反応性女性にも強く推奨されます。

36歳から39歳の高齢の女性において、GnRHアゴニストおよびアンタゴニストレジメン中の着床率と臨床妊娠率にrLHの共治療がプラスの影響を及ぼします。

rLHサポートは、OHSSのリスクのある女性において、OHSSの発症によるキャンセル率を減少させる可能性があるため、これらの患者に対して提案されています。

 

 

HMGはFSHと比較して

成熟卵数、受精卵数、胚盤胞数、良好胚率、着床率、妊娠率、生産率が高値です。

早期黄体化の危険性が少ないです(特に、LHFSHの比率が0.300.60の場合)。

OHSSの危険性やそれによる治療の中断数が少ないです。

高齢者や卵巣反応不良患者で、採卵数、分割率、移植率、着床率、出生率が高値です。

 

 

 

 

https://ameblo.jp/tsudanuma-ivf-clinic/entry-12755644316.html