人工授精 子宮腔注入か子宮頚管内注入か

人工授精において、精子は子宮腔まで注入(IUI)すべきなのでしょうか?それとも子宮頚管内まで(ICI)で良いのでしょうか?

 

 

自然周期における凍結保存されたドナー精子による、ICIIUIの比較

Intracervical insemination versus intrauterine insemination with cryopreserved donor sperm in the natural cycle: a randomized controlled trial | Human Reproduction | Oxford Academic (oup.com)

 

女性の平均年齢は、両治療とも34歳でした。

ICIに割り付けられた51人の女性(24%)とIUIに割り付けられた81人の女性(39%)で生児につながる妊娠が発生しました(RR 0.63)。

プロトコールごとの解析では、8ヶ月の治療期間中に、48人(38%)がICI後に、79人(56%)がIUI後に出産しました(RR 0.68)。

 

自然周期における凍結保存されたドナー精子を用いたICIは、IUIよりも生児出生率で劣るため、IUIが好ましい治療法です。

 

 

妊娠可能な独身女性におけるIUIICIの比較

A comparison of intrauterine versus intracervical insemination in fertile single women – Fertility and Sterility (fertstert.org)

 

月間出産率はIUI15%で、ICI9%でした(P=0.14)。

人工授精を1回だけ行った周期(IUI64周期、ICI65周期)に限定して解析したところ、月間の出産率はIUI14%、ICI5%でした(P0.04)。

 

凍結ドナー精子によるIUIは、不妊症であることが知られていない独身女性にとって、ICIよりも効果的です。

 

 

不妊症に対するドナー精子によるICIIUIの比較

Cervical insemination versus intra‐uterine insemination of donor sperm for subfertility – Besselink, DE – 2008 | Cochrane Library

 

6周期後のIUIICIと比較して、出生率(オッズ比1.98)および妊娠率(同 3.37)を著しく改善することが示されたエビデンスです。

 

 

自然周期での凍結保存されたドナー精子によるIUIまたはICI

Intrauterine insemination or intracervical insemination with cryopreserved donor sperm in the natural cycle: a cohort study | Human Reproduction | Oxford Academic (oup.com)

 

治療6周期までの累積継続妊娠率は、IUI40.5%、ICI37.9%でした。

これは、女性の年齢と適応症を制御した後のハザード率比1.02に相当します。

 

 

津田沼IVFクリニックより

IUI>ICIとする報告が多数を占めます。そもそも、わざわざICIをすることはありません。

人工授精の成功率を高めるポイントは、

  1)痛みや出血がない、或いは少ないこと  

  2)精液を子宮頚管内から子宮腔内に広く注入すること、

   排卵前では子宮腔内に勢いよく注入すること

  3)「人工授精の日程」と「精液調整」が、何よりも大切です。

 

 

 

 

https://ameblo.jp/tsudanuma-ivf-clinic/entry-12754138426.html