クラインフェルター症候群

クラインフェルター症候群

 

 

クラインフェルター症候群とは

 

およそ男性1,000人に1人の割合で見られる性染色体異常で、国内で6万人以上の患者数とされていますが、病院を受診する理由が特にない場合など、診断のついていない人も多いと推測されます。

思春期以降や成人期に、四肢細長、筋力低下、高身長、思春期来発遅延、女性化乳房、不妊、無精子症、精巣萎縮、小陰茎、性腺刺激ホルモン高値、男性ホルモン低値、性欲低下、髭や恥毛が少ない、学習障害、言語障害、肥満、メタボリックシンドロームなどの症状が見られます。

悪性腫瘍、骨粗鬆症、自己免疫疾患、甲状腺機能低下症、糖尿病、軽度の知的障害などを合併することがあります。

治療は男性ホルモンを補充します。

 

80%が47,XXYで、他に、48,XXXY、 48,XXYY、 49,XXXXY、 モザイク型46,XY/47,XXYなどがあります。

X染色体数が増えると、男性としての発達阻害、男性ホルモン量の低値、症状の重篤化、奇形率の増加などとなります。

モザイク型は正常な染色体を含みますので、症状が軽くなる傾向にあります。

 

 

クラインフェルター症候群と生殖

 

精巣が萎縮し、無精子症による不妊症が特徴です。

モザイク型では乏精子症であることも多くありますので、射出精子で体外受精や顕微授精を行うことができます。

性機能は維持され、性行為には問題がないことが多くあります。

顕微鏡下精巣内精子採取術では50%以上で精子が採取されます。

クラインフェルター症候群の遺伝の可能性は低いと考えられています。

 

 

非モザイククラインフェルター症候群における顕微授精後の16名の健常児の誕生
Birth of 16 healthy children after ICSI in cases of nonmosaic Klinefelter syndrome | Human Reproduction | Oxford Academic (oup.com)

 

新鮮精子(10周期)と凍結融解精子(16周期)で行った顕微授精の比較です。注入した卵子あたりの受精率はそれぞれ53.0%(83個中44個)、47.8%(67個中32個)でした(有意差なし)

注入卵子あたりの分割率は90.6%(32個中29個)対68.2%(44個中30個);P = 0.026でした。

臨床妊娠率は10例中7例(70.0%)、16例中8例(50.0%)、移植胚(移植胚あたり)は23例中8例(34.8%)、29例中8例(27.6%)、出産率は10例中6例(60.0%)、16例中5例(31.3%)で新鮮精子と凍結融解精子に大きな違いはみられませんでした。

出生児は16名で、新鮮精子群8名、凍結融解精子群8名、いずれも核型は正常で健康です。

 

 

ヒト胚盤胞におけるXXY核型の有病率:体外受精における着床前遺伝子検査周期で得られた7549個の栄養外胚細胞生検からの多施設データ
Prevalence of XXY karyotypes in human blastocysts: multicentre data from 7549 trophectoderm biopsies obtained during preimplantation genetic testing cycles in IVF | Human Reproduction | Oxford Academic (oup.com)

 

62個の胚盤胞が47,XXYまたは常染色体異数性を伴うXXY核型を有していました。

後者を除外すると、常染色体異数性を持たない男性胚盤胞における47,XXY核型の有病率は0.9%(n = 17/1794)でした。

母体年齢と胚盤胞の質にのみ有意な相関が認められました(OR: 1.20, 95% CI: 1.01-1.42; P = 0.04 および OR: 1.6, 95% CI: 1.13-2.45; P = 0.01 )。

 

 

 

 

https://ameblo.jp/tsudanuma-ivf-clinic/entry-12747618931.html