プレドニゾロン　　プレドニン®

2022/03/14

プレドニゾロン

プレドニン®

プレドニゾロンは副腎皮質ホルモン剤です。
プレドニン錠 (japic.or.jp)

効能・効果はたくさんありますが、不育症や着床不全は入っていません。

妊婦への使用と、用量・用法

妊婦への使用

添付文書では、「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物試験で催奇形作用が報告されており、また、新生児に副腎不全を起こすことがある。」とされています。

プレドニンの約90%は胎盤で分解されるため胎盤通過性は小さく、胎児に達する薬剤量は少しです。

催奇形性はないとされています。

用法・用量

添付文書では、「通常、成人にはプレドニゾロンとして1日5～60mgを1～4回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。」とされています。

妊娠中は一般的に10〜15mg/日を用います。

原因不明の不育症での使用

エビデンスはありません。

単独に、或いは免疫グロブリンやピシバニールと組み合わせて使います。

機序？

免疫抑制剤のため、胎児を受け容れやすくなる？

子宮内膜のNK細胞が減少するから？（細胞傷害性の強い子宮内膜NK細胞は、胎児を排除します。）

抗炎症作用が関連している？

他の使用例

抗セントロメア抗体陽性

プレドニンは異常受精に有効のため、多精子受精の検査として抗セントロメア抗体検査を行い、陽性の場合に卵胞発育期間中にプレドニン（15mg/日）を服用します。

抗セントロメア抗体と着床障害との関連は不明ですが、プレドニン10mg/日を着床期に7日間服用します。

排卵誘発、着床促進

良好な卵胞発育を促すとされています。また、拒絶反応を抑えて着床を促進するとも言われています。

論文紹介

原因不明の習慣流産にプレドニンの有効性はエビデンスがないとされていますが・・・

この統合解析は、プレドニゾロン治療が特発性再発流産の女性における妊娠転帰を改善するという科学的根拠を提供しています（生産率：相対危険1.58、妊娠成功率：同7.63、流産率：同0.42）。

我々の統合解析では、卵細胞質内精子注入周期中の妊娠結果に対するプレドニゾロンの効果は有意ではありませんでした（妊娠率：同1.02、臨床妊娠率：同1.01、着床率：同1.04）。

論文紹介

妊娠中の副腎皮質ステロイドの使用と口唇口蓋裂の危険性
Corticosteroid use during pregnancy and risk of orofacial clefts (cmaj.ca)

生後1年以内に合計1232件の口唇口蓋裂（口唇裂、口蓋裂、または口唇裂と口蓋裂）が診断され、そのうち84件は妊娠第1期に副腎皮質ステロイドに曝露された例でした。

口蓋裂を伴うまたは伴わない口唇裂の有病率オッズ比は1.05、口蓋裂のみの有病率オッズ比は1.23で、副腎皮質ステロイド使用に関する統計的に有意な口蓋裂のリスク増加は確認されませんでした。

投与方法（経口、吸入、鼻腔スプレー、皮膚用およびその他の局所用など）別の口蓋裂リスクのオッズ比は、本研究の全体的結果と一致しており、有意な異質性は認められませんでしたが、皮膚用副腎皮質ステロイドの使用と関連する口蓋裂を伴うまたは伴わない口唇裂のオッズ比は1.45でした。

我々の結果は、妊娠中によく使用される薬物群の安全性情報を追加するものです

我々の研究は、妊娠中の副腎皮質ステロイドの使用による口唇口蓋裂の危険性の増加を示しませんでした。

妊娠中の副腎皮質ホルモンの使用は、動物では口唇口蓋裂と関連しており、ヒトでも同様の危険性が疑われています。

口唇口蓋裂の危険性と妊娠中の副腎皮質ホルモンの使用との関連は、依然として不明です。