バイアスピリンと麻酔

バイアスピリンと麻酔

日本医師会雑誌第150巻第11 (med.or.jp)と日本循環器学会(JCS2020_Kimura_Nakamura.pdf (j-circ.or.jp))より

 

 

産婦人科の治療、例えば不育症や習慣流産、抗リン脂質抗体症候群、妊娠高血圧症候群などの際に、バイアスピリンを服用している方は多くいらっしゃいます。

バイアスピリンを内服している妊婦の手術や分娩では、麻酔はどのようにしたらよいのでしょうか?

 

 

表は、患者の出血リスクと血栓リスクを考慮して、手術や処置の種類によって、出血リスクを低、中、高に分類しています。

分娩や帝王切開、流産手術などの産婦人科に関する手術は記載されていませんが、帝王切開や無痛分娩の際に使用される「脊椎または硬膜外麻酔」は「出血リスク高」に分類されています。

 

 

麻酔前の休薬

 

バイアスピリンの継続、中止、休薬時期などを、継続による出血リスクと中止による血栓リスクを考慮して検討します。

バイアスピリンの服用継続は出血リスクを1.5倍に増加させたとされる報告がある一方、中止による血栓リスクは心血管疾患を約3倍に増加させたとする報告もあります。

出血リスクが血栓リスクを上回る場合や、出血が生命や健康を脅かすことが予想される場合に、バイアスピリンの服用中止が考慮されると言われています。

バイアスピリンでは、血小板の寿命期間が休薬期間となり、少なくとも7日以上を要します。

脊椎または硬膜外麻酔を使用しない低危険度・中危険度手術では休薬期間は不要とされています(流産手術や、分娩、全身麻酔での帝王切開などが当たると推測されます)。

 

 

バイアスピリン内服時の緊急対応

 

バイアスピリンを服用している時に、前期破水や胎児機能不全などで、緊急帝王切開となることもあります。

バイアスピリンには中和薬はありませんが、血小板機能を改善し、効果が報告されている方法が2つあります。

   1.デスモプレシン

   2.トラネキサム酸:多くの病院に配置され、

     有益、安価、安全とされています。

     1000㎎を点滴します。

 

 

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