ヘマトクリット(Ht)値

ヘマトクリット(Ht)値

 

 

ヘマトクリット(Ht)値は、血液全体に占める血球容積の割合です。

血液を遠心分離すると、血球と血漿が分かれます。

血漿は液体成分で、血球の大部分は赤血球です。

 

 

卵巣過剰刺激症候群( OHSS ovarian hyperstimulation syndrome)は、主に排卵誘発剤使用後に発症し、毛細血管透過性亢進に伴い、卵巣腫大、循環血漿量減少、血液濃縮、胸・腹水貯留などが発生する疾患です。

 

 

OHSS重症度分類(日本産科婦人科学会、2009年)です。

 

入院を要する重症は約1%、最重症型は10万あたり約1人とされます。

 

自覚症状:腹部膨満感、嘔気・嘔吐、腹痛、呼吸困難

超音波検査

胸腹水:小骨盤腔内の腹水、上腹部に及ぶ腹水、腹部緊満を伴う腹部全体の腹水、あるいは胸水を伴う場合

卵巣腫大:≧6cm、≧8cm、≧12cm

血液所見:血算・生化学検査がすべて正常、血算・生化学検査が増悪傾向、ヘマトクリット≧45%・白血球≧15,000/mm3・総たんぱく<6.0g/dL・またはアルブミン<3.5g/dL

 

ひとつでも該当する所見があれば、より重症なほうに分類します

卵巣腫大は左右いずれかの卵巣の最大径を示します

 

 

OHSS重症度分類に、血液所見 ヘマトクリット≧45% があります。

OHSSでは、毛細血管透過性亢進のため毛細血管から血管外に液体成分がしみ出し、相対的にヘマトクリット値上昇し血液が濃縮します。

 

 

軽症OHSSの予防と対応

 

血液濃縮による動脈血栓症の予防のため、軽症OHSSでは安静は保たず、軽度の活動をしましょう。水分は1日1000ml以上飲みましょう。

激しい運動と性交は控えてください(脱水等を防ぐためです)。

 

 

OHSSにおける血液濃縮への対応例

 

1.メトホルミンの併用

 使用例;15001500mgを内服します。

2.カベルゴリン:腹水の産生が抑制されます。

 使用例;カベルゴリン0.25mg12錠、hCG使用日から8日間または採卵後から7日間内服します。

3.低用量アスピリン:OHSSの合併症の血栓・塞栓形成の抑制の目的で用いられます。

 使用例;低用量アスピリン100mgを、卵巣刺激開始日から妊娠判定日まで内服します。

4.アルブミン製剤:

 使用例;アルブミン1050gを、採卵直後に点滴します。

5.ヒドロキシエチルデンプン(HES)製剤

 使用例;6%HES 500ml を採卵直後から2日以内に点滴します。

 

 

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