葉酸と神経管閉鎖障害

葉酸と神経管閉鎖障害

 

神経管閉鎖障害は、先天性の脳や脊柱に発生する癒合不全のことをいい、無脳症、脳瘤、二分脊椎等が含まれます。日本の2013年における発症頻度(出産1万対)は、無脳症は0.32、二分脊椎は5.59、脳瘤は0.32です。

 

神経管の閉鎖は複数個のジッパーが閉じるように進みます。無脳症は頭部の閉鎖障害、二分脊椎は腰部の閉鎖障害で発生します。

 

神経管閉鎖障害の初発予防には、妊娠前からの葉酸サプリメント摂取が有効です。厚生労働省は、10.4mgを神経管閉鎖障害発症リスク低減の最低摂取量としています。葉酸サプリメン購入の際は「400μg」(以上)を確認して下さい。

神経管の閉鎖は妊娠6週末で完成しますので、妊娠に気づいてからの葉酸服用では遅すぎます。妊娠が成立する1か月以上前からの服用が必要です。

 

神経管閉鎖障害児の妊娠出産既往がある女性では、第2子の再発リスクは一般女性に比べて10倍以上高いとされていますので、医師の管理下に妊娠前から妊娠11週まで145mgの葉酸摂取をお勧めします。これにより、10.4mgの葉酸摂取(一般的なサプリメントの含有量)が神経管閉鎖障害の発症率を36%低下させることに対し、14mgの摂取では約80%、5mgの摂取では約85%の発症率の低下が予測されます。

ただし、妊娠12週になりましたら、速やかに10.4㎎に戻しましょう。

 

津田沼IVFクリニックでは葉酸錠(フォリアミン錠5mg)を120円(自費、税込み)で処方しています(他に診察料や処方料などが自費で必要です)。

決して、サプリメントを10倍服用するようなことをしてはいけません。

 

神経管閉鎖障害の発症要因は多因子ですので、必ずしも葉酸摂取不足が神経管閉鎖障害児出産に寄与したわけではありません。また、葉酸を内服していても第2子での発症をすべて防げるわけではありません。

 

葉酸と神経管閉鎖障害 (津田沼IVFクリニック) | tsudanuma-ivf-clinicのブログ (ameblo.jp)