2023/02/13
生殖障害を繰り返す慢性子宮内膜炎患者の末梢および子宮の免疫状態の評価
「慢性子宮内膜炎の検査と治療効果」 津田沼IVFクリニック | tsudanuma-ivf-clinicのブログ (ameblo.jp)
慢性子宮内膜炎(CE)は、子宮内膜の持続的な炎症です。
CEの原因として最も一般的な感染因子は、大腸菌、連鎖球菌、ブドウ球菌、クラミジア、マイコプラズマ、ウレアプラズマ、酵母、およびいくつかのウイルスです。
CEの症状は軽度、あるいは見落とされがちで、骨盤痛、機能性子宮出血、性交痛、帯下増加などがあります。
CEは、組織学的には子宮内膜間質への形質細胞の浸潤によって定義されますが、子宮鏡検査を用いて診断することも可能です。しかし、CE診断における子宮鏡検査の総合的な精度は67%に過ぎず、組織学的検査に代わる診断手段として用いるべきものではないとされています。
CD138は形質細胞に発現しており、形質細胞のCD138免疫組織化学染色は、CEの診断においてより正確で感度の高い診断方法であることが証明されています。
不妊症や再発性生殖障害(反復流産や着床不全)では、CEが妊娠予後不良に寄与しています。
CD138の検出に基づくCEの有病率は、反復流産患者で7~56%、反復着床不全患者で7.7~44%と報告されています。
CEを有する再発性生殖障害患者では流産率が上昇し、着床率が低下します。
抗生物質治療後、CEを有する女性のその後の妊娠における生着率は、CEを有しない女性と同様であり、CE治療は反復着床不全を患う患者の体外受精転帰を改善する可能性があることが明らかにされました。
結論
CEは、免疫細胞の子宮内膜浸潤値の上昇に寄与しています。
CE患者における子宮内膜免疫細胞の過剰な存在は、子宮内膜の受容性の低下と生殖障害の再発に関与している可能性があります。
コメント
なかなか着床しなかったり、流産を繰り返す場合には、慢性子宮内膜炎の検査をしましょう。
当クリニックでは子宮内視鏡検査は原則として全員に、CD138検査は必要と思われた方に行っています。