2022/10/17
子宮仮性動脈瘤
「子宮仮性動脈瘤」 津田沼IVFクリニック | tsudanuma-ivf-clinicのブログ (ameblo.jp)
仮性動脈瘤は、手術や外傷・感染などが原因で、動脈壁の一部が不完全に破綻して血管が嚢状に拡張した後天性の病変です。
子宮仮性動脈瘤は、子宮内容除去・帝王切開・筋腫核出術、正常分娩後などに発生し、少量から多量の性器出血の原因となる稀な疾患です。
通常は子宮内操作から1週~1月後に性器出血が出現しますが、数年後に発症することもあります。
カラードップラーで、低エコーの嚢胞像内に拍動性血流が認められます。3D-CTやMRIでは、早期より強く造影される結節様構造が認められます。
治療には、子宮摘出術、子宮動脈結紮術、子宮動脈塞栓術などがあります。子宮動脈塞栓術では対側の子宮動脈も塞栓します。仮性動脈瘤は胎盤遺残とは無関係と考えられているため、メトトレキサートは使いません。
仮性動脈瘤は分娩1000に2~3例と、高頻度に存在します。瘤が破裂するかしないかを判別する方法はありませんので、仮性動脈瘤と診断したら動脈塞栓術を行います。
仮性動脈瘤の存在に気づかず子宮内容除去術を行うと、瘤が破綻して大出血します。
子宮動脈仮性動脈瘤の診断と治療について
Diagnosis and treatment of uterine artery pseudoaneurysm: Ca… : Medicine (lww.com)
子宮動脈仮性動脈瘤は、まれではありますが、生命を脅かす出血の原因となる可能性があります。
子宮動脈仮性動脈瘤患者9例の内、7例は帝王切開、子宮頸管拡張掻爬術、腹腔鏡下子宮筋腫摘出術、子宮頸管円錐切除術など外傷性手術の既往を有していました。2例は自然経腟分娩と第2期妊娠中絶後に発症しました。主症状は大量・長時間の腟内出血でした。7例は子宮動脈塞栓術を施行し、2例は保存的治療とした。全例に良好な転帰が得られました。
子宮動脈仮性動脈瘤は外傷性骨盤内手術や非外傷性分娩・人工妊娠中絶の後に発症することがあります。これまで考えられていたよりも頻度が高い可能性があります。子宮動脈塞栓術は、子宮動脈仮性動脈瘤破裂の効果的な管理戦略である可能性がありますが、一部の症例は子宮動脈塞栓術を行わずに自然治癒することがあります。
腹腔鏡補助下子宮筋腫摘出術後の子宮動脈仮性動脈瘤の保存的管理とその後の妊娠転帰
Conservative management of uterine artery pseudoaneurysm after laparoscopic-assisted myomectomy and subsequent pregnancy outcome: case series and review of the literature – European Journal of Obstetrics and Gynecology and Reproductive Biology (ejog.org)
子宮動脈仮性動脈瘤は子宮筋腫摘出術後に発生する生命を脅かす可能性のある稀な合併症です。その臨床的特徴や管理、その後の妊娠の転帰はよく分かっていません。
腹腔鏡補助下子宮筋腫摘出術854例中9例に子宮動脈仮性動脈瘤が診断されました。1例は大量子宮出血で診断され、8例は術後早期に出血を伴わずに診断されました。8例は子宮動脈塞栓術を施行し、1例は仮性動脈瘤が自然消退しました。妊孕性温存を希望する5名の女性のうち、3名が帝王切開で生児を得ました。
子宮筋腫核出術後の子宮動脈仮性動脈瘤の発生は、これまで考えられていたよりも多い可能性があり、生命を脅かす出血や妊孕性の喪失を避けるために慎重に観察する必要があります。自然治癒することもありますが、血管造影による保存的管理は、将来の妊孕性温存となり得ます。
仮性動脈瘤の発生機序
Medicine (lww.com)
左子宮動脈上行枝を親動脈とする子宮動脈仮性動脈瘤です。その破裂により腟からの出血、産後出血が起こります。
まとめ
子宮仮性動脈瘤は、子宮内容除去・帝王切開・筋腫核出術、正常分娩後などに発生し、多量の性器出血の原因となる疾患で、分娩1000に2~3例と、高頻度に存在します。
性器出血の診察では、超音波カラードップラー検査を行い、子宮仮性動脈瘤の可能性を考慮します。
子宮仮性動脈瘤と診断した場合は、子宮動脈塞栓術を施行します。
子宮仮性動脈瘤を否定せずに、子宮内容除去術を実施してはいけません。子宮内容除去・帝王切開術、分娩後の出血が多い際に行なわれがちです。