アナフィラキシーガイドライン2022

アナフィラキシーガイドライン2022
Web_AnaGL_2022_2.pdf (jsaweb.jp)

一般社団法人 日本アレルギー学会 Anaphylaxis 対策委員会

 

 

アナフィラキシーの定義

アナフィラキシーは重篤な全身性の過敏反応であり、通常は急速に発現し、死に至ることもある。重症のアナフィ ラキシーは、致死的になり得る気道・呼吸・循環器症状により特徴づけられるが、典型的な皮膚症状や循環性ショックを伴わない場合もある。

 

 

診断基準
 以下の2つの基準のいずれかを満たす場合、アナフィラキシーである可能性が非常に高い。

1.皮膚、粘膜、またはその両方の症状(全身性の蕁麻疹、搔痒または紅潮、口唇・舌・口蓋垂の種脹など)が急速に(数分~数時間で)発症した場合。さらに、少なくとも次の1つを伴う

A.気道/呼吸:呼吸不全(呼吸困難、呼気性喘鳴・気管支攣縮、吸気性喘鳴、ピークフロー最大流量低下、低酸素血症など)

B.循環器:血圧低下または臓器不全に伴う症状(筋緊張低下[虚脱]、失神、失禁など)

C.その他:重度の消化器症状(重度の痙攣性腹痛、反復性嘔吐など[特に食物以外のアレルゲンへの曝露後])

2.典型的な皮膚症状を伴わなくても、当該患者にとって既知のアレルゲンまたはアレルゲンの可能性がきわめて高いものに曝露された後、血圧低下・または気管支攣縮または喉頭症状(吸気性喘鳴、変声、嚥下痛など)が急速に(数分~数時間で)発症した場合。

収縮期血圧が90mmHg未満、または本人のベースライン値に比べて30%を超える収縮期血圧の低下

 

 

疫学

アレルギー疾患罹患者(有症者)数(小学校~高等学校)

食物アレルギー        アナフィラキシー        エピペン保持者

407,546(4.45%)       43,6210.48%)        23,8650.26%

アナフィラキシーショックによる死亡数(20012020年合計)

総数 1161

ハチ刺傷 371

食物 49

医薬品 452

血清 9

詳細不明 280

 

 

機序 1

・アナフィラキシーの機序は多岐にわたるが、最も頻度の高い機序はIgEが関与する免疫学的機序である。

IgEが関与しないアナフィラキシーには免疫学的機序と非免疫学的機序がある。マスト細胞が直接活性化されることでもアナフィラキシーとなりうる。

IgEが関与する機序に多く見られる誘因は食物、刺咬昆虫(ハチ、アリ)の毒、薬剤である。

・薬剤は、IgEが関与しない免疫学的機序、およびマスト細胞を直接活性化することによっても、アナフィラキシーの誘因となりうる。

・造影剤は、IgEが関与する機序と関与しない機序の両者により、アナフィラキシーの誘因となりうる。

 

 

機序 2

IgEが関与する免疫学的機序

食物;ピーナッツ、大豆、卵、魚、ゴマ、木の実、貝類・甲殻類、牛乳、果物

刺咬昆虫

薬剤;βラクタム系抗生物質、非ステロイド性抗炎症薬、生物学的製剤

造影剤

職業性アレルゲン

精液

環境アレルゲン

天然ゴムラテックス

IgEが関与しない免疫学的機序

造影剤

非ステロイド性抗炎症薬

デキストラン

生物学的製剤

 

 

機序 3

非免疫学的機序(直接的なマスト細胞活性化)

物理的要因(運動、寒冷、熱、日光など)

アルコール

薬剤

特発性アナフィラキシー(明らかな誘因なし)

 

 

危険因子、増悪因子

年齢関連因子;乳幼児、思春期・青年期、妊娠・出産、高齢者

併存疾患・併用薬;喘息や他の呼吸器疾患、心血管疾患、マスト細胞症等、精神疾患(うつ病など)、アレルギー性鼻炎および湿疹、高血圧薬、非ステロイド性抗炎症薬、アルコール、鎮静薬、睡眠薬、抗うつ薬、嗜好性薬物

アナフィラキシーを増幅させる促進因子;運動、急性感染症(感冒、発熱など)、情動性ストレス、非日常的な活動(旅行など)、月経前状態

 

 

症状1

・アナフィラキシーが発症する臓器は多種である。通常、症状は、皮膚・粘膜、上気道・下気道、消化器、心血管系、中枢神経系の中の複数の器官系に生じる。

・皮膚および粘膜症状はアナフィラキシー患者の8090%、気道症状は最大70%、消化器症状は最大45%、心血管系症状は最大45%、中枢神経系症状は最大15%に発現する

・症状および徴候のパターン(発症、症状の数、経過)は患者により異なり、同一患者でもアナフィラキシーの発症ごとに差異が認められる。

・原因が食物が薬剤か、また薬剤の種類によっても各臓器症状の出やすさは異なる。

・発症初期には、進行の速さや最終的な重症度の予測が困難であり、数分で死に至ることもある。

・致死的反応において呼吸停止または心停止までの中央値は、薬物5分、ハチ15分、食物30分との報告がある。蘇生に成功しても重篤な低酸素脳症を残すことがある。

・二相性反応は成人の最大23%、小児の最大11%のアナフィラキシーに発生する。

・二相性反応の約半数は最初の反応後612時間以内に出現する。

・アドレナリン投与の遅れ(発症から30分以上)は二相性反応の出現に関連する。

・アナフィラキシーの遅延反応でアドレナリン投与を要したのは9.2%であり(中央値1.7時間、14分~30時間)、うち76%4時間以内であるが、7.4% 410時間のうちに重篤な反応を来している。

 

症状 2

皮膚・粘膜  紅潮、搔痒感、蕁麻疹、血管性浮腫、麻疹様発疹、立毛、眼結膜充血、流涙、

       口腔内腫脹

呼吸器    鼻掻痒感、鼻閉、鼻汁、くしゃみ

       咽頭搔痒感、咽喉絞扼感、発声障害、嗄声、上気道性喘鳴、断続的な乾性咳嗽

       下気道:呼吸数増加、息切れ、胸部絞扼感、激しい咳嗽/気管支痙攣、チアノーゼ、

       呼吸停止

消化器    腹痛、嘔気、嘔吐、下痢、嚥下障害

心血管系   胸痛、頻脈、徐脈 (まれ)、その他の不整脈、動悸

       血圧低下、失神、失禁、ショック、心停止

中枢神経系  切迫した破滅感、不安、拍動性頭痛(アドレナリン投与前)、不穏状態、浮動性めまい、

       トンネル状視野

 

 

アナフィラキシーの重症度分類

            軽症          中等症            重症

皮膚・粘膜症状

 紅斑・蕁麻疹・膨疹 部分的          全身性          全身性

 搔痒        軽い搔痒(自制内)    搔痒(自制外)      搔痒(自制外)

 口唇、眼瞼腫脹   部分的          顔全体の腫れ       顔全体の腫れ

消化器症状

 口腔内、咽頭違和感 口、のどのかゆみ、違和感 咽頭痛          咽頭痛

 腹痛        弱い腹痛         強い腹痛(自制内)   持続する強い腹痛(自制外)

 嘔吐・下痢     吐気、単回の嘔吐・下痢  複数回の嘔吐・下痢  繰り返す嘔吐・便失禁

呼吸器症状

 咳嗽、鼻汁、鼻閉、くしゃみ 間欠的な咳嗽、鼻汁、鼻閉、くしゃみ

                        断続的な咳嗽    持続する強い咳き込み、

                                  犬吠様咳嗽

 喘鳴、呼吸困難   なし     聴診上の喘鳴、軽い息苦しさ  明らかな喘鳴、呼吸困難、

                                 チアノーゼ、呼吸停止、

                            SpO292%、絞めつけられる感覚、

                                 嗄声、嚥下困難

循環器症状 頻脈、血圧 なし    頻脈(+15/分)、血圧軽度低下、蒼白

                            不整脈、血圧低下、重度徐脈、心停止

神経症状 意識状態 元気がない 眠気、軽度頭痛、恐怖感   ぐったり、不穏、失禁、意識消失

 

 

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