2022/08/17
透明帯除去
受精卵の細胞分裂の過程で、細胞質の断片がたくさん出現して低グレード胚になってしまう。
分割期胚の断片に関連するペリビテライン糸PVT
Perivitelline threads associated with fragments in human cleavage stage embryos observed through time-lapse microscopy – Reproductive BioMedicine Online (rbmojournal.com)
PVTは、透明帯と卵膜、場合によっては胚盤胞膜をつなぐペリビテライン腔を横切って伸びる細い糸と定義されます。
PVTは77%の胚で観察されました。
染色体正常胚率は、PVTのある胚40%、ない胚49%で、同程度でした。
着床率も、PVTのある胚25%、ない胚28%で、ほぼ同じでした。
PVTが観察された胚では、98%が2細胞期で発生しました。
95%の胚で、PVTが胚から直接断片を引き抜くことが観察されました。
断片化の発生頻度は、PVTのない胚67%、ある胚96%で、有意差がありました。
これらのデータは、PVTと断片化の関連を示唆しています。
透明帯除去は胚の細胞質断片を減少させます(要約)
Removing the zona pellucida can decrease cytoplasmic fragmentations in human embryos: a pilot study using 3PN embryos and time-lapse cinematography | SpringerLink
目的
初期胚の細胞断片を減少させる新しい方法を確立すること
方法
患者から提供された異常受精卵(前核3個胚(3PN))の透明帯(ZP)を前核の段階で除去しました。
結果
ZP除去3PN胚の68.1%は第一分割時に細胞質の20%未満の断片化、24.6%は20~40%の細胞断片化を示し、40%以上の断片化を示したのは7.2%に留まりました。
これらの結果から、ZPのある3PNおよび2前核・2極体胚と比較して、第一分割前のZP除去により断片化の割合が減少することが示唆されました。
結論
ZPを除去した胚は、正常に発生し、細胞間接着をよく維持し、断片化の割合が減少したため、前核期以降の正常な発生に ZP が必ずしも必要でないことを明らかにしました。
この培養システムは、良質胚獲得が困難な患者にとって、大きな突破口となるかもしれません。
「透明帯除去」 津田沼IVFクリニック | tsudanuma-ivf-clinicのブログ (ameblo.jp)