2022/08/08
DFIと流産・不育症
DFI : 精子DNA断片化指数
DFI検査とは
男性の隠れた不妊のリスク要因がみつかる可能性があります。次のような男性にお勧めします。
・原因不明の精液所見不良
・体外受精や顕微授精の反復不成功
・繰り返す流産
損傷したDNAを持つ精子の割合を調べます。
精子クロマチン構造検査;精子を染色します。
精子DNAの断片化率が22%以下の場合に、パートナーの妊娠率が高くなるというデータがあります。
また流産や不育症では、精子DNAの断片化率が高いという報告があります。
生殖補助医療におけるDFIと累積出産率
Sperm DNA fragmentation index and cumulative live birth rate in a cohort of 2,713 couples undergoing assisted reproduction treatment – Fertility and Sterility (fertstert.org)
DFI(20%未満 vs 20%以上)および受精方法(体外受精 vs 顕微授精)に応じた累積出産率
DFI<20% DFI≧20%
体外受精 1周期 26.6% 17.7%
2周期 44.2% 35.3%
3周期 55.6% 51.4%
顕微授精 1周期 23.6% 23.9%
2周期 38.4% 40.0%
3周期 53.7% 52.9%
体外受精では、正常なDFIのカップルの累積出産率は55.6%、高いDFI(≧20%)のカップルは51.4%でした。顕微授精では、DFIに依存した差は認めらませんでした。
生殖補助医療の最初の周期に顕微授精ではなく体外受精を適用した場合、DFIが高いと累積出産率が統計的に有意に低くなることが明らかになりました。
年齢別DFI
年齢 DFI
<30 18.2%
30~34 19.6%
35~39 20.4%
40~44 22.2%
45~49 23.6%
50~54 26.5%
≧55 30.1%
加齢とともに、DFIが増加します。
年齢 DFI
20~29 12.6%
30~39 15.2%
40~49 19.5%
50~59 26.8%
60~80 39.3%
父親年齢の上昇は、DFIの上昇と関連していた。
DFIの増加は、41.6歳以降では2倍以上であった。
DNA損傷が高い患者では、DNA損傷が低い患者と比較して流産が2.16倍に増加していた。
精液量、精子濃度、総精子数、精子生存率、精子形態(世界保健機関(WHO)および厳密な基準)は、カップルの流産に差は認められなかった。DFIが30%以上は、流産と統計的に有意に関連していた。
不育症女性の男性パートナーは、妊娠可能な対照女性のパートナーと比較して、DFIが平均11.91%高かった。
「精子DNA断片化指数DFIと流産・不育症」 津田沼IVFクリニック | tsudanuma-ivf-clinicのブログ (ameblo.jp)