梅毒

梅毒

参考 産婦人科診療ガイドライン ―婦人科外来編2020gl_fujinka_2020.pdf (jsog.or.jp)

 

 

梅毒感染症の年次推移(男女総数)


平成25年頃から男女ともに急増しています

 

 

梅毒の診断

 

検鏡

血清反応がまだ陽性を示さない初期硬結や硬性下疳の病変に対しては、パーカーインク法により梅毒スピロヘータを確認します。

 

血清反応

カルジオリピンを抗原とする非特異的な RPR カードテストや凝集法(STS

Treponema pallidum を抗原とする特異的な Treponema Pallidum Hemagglutination TestTPHA) 法 ま た は Fluorescent Treponemal AntibodyabsorptionFTA-ABS)法

スクリーニング検査として血清反応(STS TPHA)を先に行います。

 

 

STS法とTPHA法の解釈

 

        TPHA 陰性                  TPHA 陽性

STS 陰性     正常                   陳旧性梅毒(治療不要)

         感染初期(抗体陰性期)

STS 陽性     生物学的偽陽性(16倍以上ではまれ)     梅毒(要治療)

         感染初期                 陳旧性梅毒(治療不要)

生物学的偽陽性の場合は、自己免疫疾患などの検索を行う必要があります。

STSが陰性でも、感染後4週以内と思われる場合にはSTSの再検査が必要です。

また、STS陽性化からTPHA陽性化までは約23週間かかるので、必要があればTPHAの再検査を考慮します。

新規のT.p.を抗原とする検査法TPLAtreponema pallidum Latex Agglutination)では、PRPより早く陽性化する

こともあり、RPR陰性かつTPLA陽性で梅毒の初期感染を疑う場合は、1か月後に抗体検査を行い、RPR

推移を確認します。

 

 

症状

 

第1期  感染から約3週間で、感染部位(口や陰部など)に初期硬結ができます。その後、周囲は盛り上がり、中心はへこんできます(硬性下疳;げかん)。数週間後には鼠径部リンパ節が腫脹(無痛性横痃;おうげん)します。これらには痛みはなく、自然に消えていきます。女性では出現頻度が低く、上皮がわずかに剝離している程度のことが多いです。

第2期  感染から約3か月で、次のような多彩な所見が約3年にわたり混在して出現します。 

       梅毒性バラ疹、丘疹性梅毒疹、膿疱性梅毒疹(全身性)

       梅毒性乾癬(手掌・足底)、扁平コンジローマ(肛門部・外陰部)

       梅毒性アンギーナ(口腔内)、梅毒性脱毛(頭部)など

       これらも数週間で自然に消えていきます(治癒していません)。

血清診断のみでは梅毒の進行期の診断ができませんので、臨床経過は重要です。症状なく梅毒血清反応が陽性を示す無症候性梅毒や、梅毒血清反応は弱陽性、または陰性となることがある晩期梅毒など、梅毒は病期において臨床症状と血液検査結果に乖離を生じます。

 

 

治療(第1選択薬)

 

一般名            商品名        使用方法         使用期間

アモキシシリン     サワシリン     1回500mg 1日3回     第1期2~4週間

アンピシリン     ビクシリン     1回500mg 1日4回    第2期4~8週間

ベンジルペニシリンベンザチン バイシリンG細粒 1回40万単位1日3回 第3期以降8~12週間

ベンジルペニシリンカリウム 注射用ペニシリンGカリウム         10~14日間

      1回300~400万単位を1日6回点滴静注。(主に神経梅毒の治療に用いる。)

      なお、年齢、症状によリ適宜増減する。                          

                                                                      

 

無症候性梅毒でSTSが16倍以上では治療を考えます。

使用期間は臨床症状から感染時期を推定してその期に合わせるか、

不明な場合や1年以上経過したと考えられる症例では8~12週間とします。

 

 

治療(ペニシリン系にアレルギーがある場合)

 

一般名        商品名        使用方法        使用期間

ミノサイクリン   ミノマイシン  1回100mg 1日2回  第1期2~4週間

スピラノマイシン アセチルスピラマイシン 1日200mg 1日6回 第2期4~8週間

                                第3期以降8~12週間

 

 

治癒判定

 

STSの定量値が8倍以下を継続することと臨床症状がなくなったことで治癒と判定します。

治療終了後6か月以上して16倍以上を示す場合は治療が不十分であるか、再感染あるいはHIVの重複感染が考えられますので、HIV 検査を行ったうえで再治療を行います。

 

 

 

 

https://ameblo.jp/tsudanuma-ivf-clinic/entry-12754477564.html