2022/06/09
線毛機能不全症候群(カルタゲナー(Kartagener)症候群)
線毛機能不全症候群(カルタゲナー(Kartagener)症候群を含む。) 概要 – 小児慢性特定疾病情報センター (shouman.jp)
線毛機能不全症候群(カルタゲナー症候群)とは
先天的な異常によって線毛運動が障害され、中耳、耳管、鼻、副鼻腔、咽頭を含めた呼吸器系の易感染性を呈する疾患です。
慢性副鼻腔炎や気管支拡張症を高頻度に合併します。
約半数に完全内臓逆位を生じ、Kartagener症候群と呼びます。
線毛機能不全症候群(カルタゲナー症候群)と不妊症
男性では精子の鞭毛運動不全、女性では卵管の線毛運動不全による不妊症の合併が知られています。
精子が動かないために自然妊娠や人工授精・体外受精での妊娠はできませんが、顕微授精では可能です。
通常、不動精子での受精卵はほとんど成長しませんが、線毛機能不全症候群の不動精子での受精卵は成長します。
女性の線毛機能不全症候群では、自然妊娠例が報告されています。受精卵の輸送には線毛運動以外の働きがあることが推測されます。
ヒト卵管の線毛機能とモータータンパク質組成の解明
ヒト卵管線毛のモータータンパク質組成は、気道線毛と同じでした。
卵管線毛は協調的な拍動を示し、その結果、子宮腔に向かう流体の流れが生じました。
我々は、気道線毛の重度の機能障害を持つ9人の線毛機能不全症候群患者を同定し、自然妊娠の後に子供を出産しました。
このことは、線毛の拍動は卵子輸送の主要なモーターではないことを示唆しています。
線毛機能不全症候群の成人コホートにおける不妊症:表現型と遺伝子の関連性
対象となった36人の女性のうち、14人(38.9%)が36歳(28-39歳)の中央値で自然妊娠し、31人の子どもを出産しました。
流産率は8%でした。
子宮外妊娠は報告されていません。
不妊症と考えられる22人(61.1%)(年齢中央値43歳(36-46歳))のうち、6人が生殖補助医療後に妊娠し、6人の生児が誕生しました。
「線毛機能不全症候群(カルタゲナー(Kartagener)症候群)」 津田沼IVFクリニック | tsudanuma-ivf-clinicのブログ (ameblo.jp)