ピシバニール

ピシバニール

 

ピシバニールとは

ピシバニール注射用0.2KE、ピシバニール注射用0.5KE、ピシバニール注射用1KE、ピシバニール注射用5KE (japic.or.jp)

抗悪性腫瘍剤、リンパ管腫治療剤です。

 

効能効果

胃癌(手術例)患者及び原発性肺癌患者における化学療法との併用による生存期間の延長 消化器癌患者及び肺癌患者における癌性胸・腹水の減少 他剤無効の、頭頸部癌(上顎癌、喉頭癌、咽頭癌、舌癌)及び甲状腺癌 リンパ管腫

 

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

 

禁忌

 本剤によるショックの既往歴のある患者 ベンジルペニシリンによるショックの既往歴のある患者[本剤はベンジルペニシリンを含有している。]

原則禁忌

 本剤又はペニシリン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者[本剤はベンジルペニシリンを含有している。] ストレプトコックス・ピオゲネス(A群3型)Su株ペニシリン処理凍結乾燥粉末です。

 

作用

 本剤の投与により好中球、マクロファージ、リンパ球数の増加(ヒト)、好中球(ラット)、マクロファージ(ヒト)、NK細胞(ヒト)の活性化及びCTL細胞の誘導(ラット)が認められた。更にこれら細胞の増殖、活性化に関与するIL-1、IL-2(マウス)、IL-8(ヒト)、IL-12(マウス)、IFN-γ(マウス)、TNF-α(ヒト)、G-CSF(ヒト)、GM-CSF(ヒト)等のサイトカインの産生が認められることから、主に本剤の投与によって賦活された種々の宿主の生体防御反応を介して、抗腫瘍効果を発現するものと考えられている。

 

NK細胞とは

・NK細胞は妊娠維持に関与し、末梢血NK細胞と子宮NK細胞があります。

・末梢血NK細胞は強力な細胞障害性を有し、腫瘍細胞や感染細胞を攻撃します。

・子宮NK細胞は黄体期から妊娠初期に子宮内膜間質中に多く存在する免疫を担当する細胞で、子宮内膜リンパ球の60~80%を占めるとされます。

・細胞障害性は低く、情報伝達や成長のためのタンパク質を多く産生し、着床部位のらせん動脈を構築します。

不育症や着床不全では、子宮NK細胞の細胞障害性の増加、タンパク質の産生異常を来していることがありますので、末梢血NK細胞を抑制し、子宮NK細胞を賦活化する治療が必要になります。

 

原因不明の免疫性不育症・着床障害での使用

不育症管理に関する提言2021 teigen001.pdf (fuiku.jp)

「ピシバニールは、不育症の臨床研究や有効性に関する英文論文はなく、有用性に関するエビデンスはない。」

 

使用方法例(量は0.2KE/回)

夫リンパ球免疫療法に代わる治療で、NK細胞活性を低下させて妊娠に有利な免疫状態にするとされています。

NK細胞活性値が約8割で下がるとする報告があります。

受精卵の着床を促進します。

1)移植前にピシバニールの注射を1回、移植後にピシバニールの注射を週に1回合計4回します。

2)移植周期からピシバニールとプレドニン10~15mgを併用し、妊娠したら月に1回のピシバニール注射とプレドニン内服を継続します。

3)妊娠4〜5週にピシバニールを1回、その2週間後に1回の注射をします。

 

その他のNK細胞活性を低下させる治療例

1)イントラリピッドの点滴

2)ヘパリンの皮下注射

3)大量免疫グロブリンの点滴

4)夫リンパ球免疫療法

5)ステロイドホルモンの内服 「ピシバニール」

 

 

「ピシバニール」  津田沼IVFクリニック | tsudanuma-ivf-clinicのブログ (ameblo.jp)