2022/02/26
ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン
参考:厚生労働省ホームページ
HPVと子宮頸がん
・HPVは性交により感染します。性交経験のある多く人は、1度は感染すると言われている一般的なウイルスです。何度も感染することがあります。
・子宮頸がん、肛門がん、腟がん、尖圭コンジローマ等の発生に関わっています。
・子宮頸がんはHPVが子宮頸部に持続的に感染することにより、異形成を経てがんになります。
・HPVに感染しても多くは数年以内に消失しますが、数%は感染が持続して高度異形成、上皮内がん、浸潤がんとなっていきます。ほぼ100%の子宮頸がんで高リスク型HPVが検出され、HPV16/18型がその50~70%を占めるとされています。
子宮頸がんの疫学
・2018年に日本では年間約11,000人が子宮頸がんに新たに感染し、約3,000人が死亡しています。
・子宮頸がんは25歳位から増加し、35歳以降は高年齢に至るまでずっと多く見られます。
・子宮頸がんは、早期発見であれば予後は悪くありません。しかし、妊娠ができなくなる手術や放射線治療を必要とする進行がんが1年間に約1,200人見られます。
・高度異形成や上皮内がんに対する子宮腟部円錐切除術は1年に11,000以上行われていますが、これは流産や早産の危険性が高まるとされています。
<子宮けいがんの進行 数年~十数年かかって進行>
厚生労働省ホームページ000679261.pdf (mhlw.go.jp)
⓪正常
①HPVの感染(正常な子宮けい部の細胞にHPVが感染する。ほとんどは自然に消えます→(⓪へ))
②HPVの持続感染(一部の人でHPVがなくならず、ずっと感染した状態になる。一部は自然に正常に戻ることがあります。→⓪へ)
③前がん病変(がんになる手前の状態になる。一部は自然に正常に戻ることがあります。→⓪へ 手術などの治療が必要になります)
④子宮けいがん(前がん病変からがんになる。手術などの治療が必要になります)
HPVワクチン
・2価HPVワクチン(サーバリックスⓇ)はHPV16と18型の感染を、4価HPVワクチン(ガーダシルⓇ)はHPV6、11、16、18型の感染を予防します。サーバリックスⓇを接種すると、自然感染で獲得する数倍量の抗体を少なくとも9.4年維持すると報告されています。サーバリックスⓇとガーダシルⓇは、子宮頸がんの約70%を防ぎ、効果は約20年続くとされています。 9価HPVワクチン(シルガード9 Ⓡ)は、約90%の子宮頸がんを予防することができます。
・HPV16と18型は子宮頸部異形成を、HPV6と11型は尖圭コンジローマを引き起こします。
・HPVには200種類以上の遺伝子型があり、子宮頸がんの原因となるものはこのうちの15種類以上ありますので、6、11、16、18型以外のHPVによる子宮頸がんも存在します。これらはHPVワクチン接種では予防できません。HPVワクチンを接種しても、子宮頸がん検診が必要です。
・HPVワクチン導入により、対応するHPV感染が77.9%減少し、子宮頸部異形成が51%減少した等の報告があります。
・日本ではHPVワクチン接種により、子宮頸がん罹患を10万人あたり595~859人、死亡を144~299人回避できると期待されています。
使用法
小学校6年~高校1年相当の女子を対象に、公費で定期接種が行われています。イギリス、オーストラリアなどでは女子の8割以上がワクチンを接種しています。
いずれのワクチンも初めての性交渉を経験する前に接種を始めることが望ましいです。これ以外の年齢でも任意接種することができます(自費)。
サーバリックス
・用法・用量
10歳以上の女性に、通常、1 回0.5mLを0、1、6 ヵ月後に3回、上腕の三角筋部に筋肉内接種する。
・用法・用量に関連する接種上の注意
(1)本剤の接種上、やむを得ず接種間隔の変更が必要な場合は、2回目の接種は1回目の接種から1~2.5ヵ月の間で、3回目の接種は1回目の接種から5~12ヵ月の間で調整すること。
(2)同時接種
医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができる(なお、本剤を他のワクチンと混合して接種してはならない)
ガーダシル
・用法及び用量
9歳以上の者に、1回0.5mLを合計3回、筋肉内に注射する。通常、2回目は初回接種の2ヵ月後、3回目は6ヵ月後に同様の用法で接種する。
・接種間隔
1年以内に3回の接種を終了することが望ましい。なお、本剤の2回目及び3回目の接種が初回接種の2ヵ月後及び6ヵ月後にできない場合、2回目接種は初回接種から少なくとも1ヵ月以上、3回目接種は2回目接種から少なくとも3ヵ月以上間隔を置いて実施すること。
・同時接種
医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができる。
シルガード®9
・公費による定期接種ではなく、任意接種です。
・HPV6、11,16、18、31、33、45、52、58型を予防します。 6型、11型は尖圭コンジローマ、他は子宮頸がんの予防となります。
【用法・用量】
9 歳以上の女性に、1 回 0.5mL を合計 3 回、筋肉内に注射する。通 常、2 回目は初回接種の 2ヵ月後、3 回目は 6ヵ月後に同様の用法で 接種する。
< 用法・用量に関連する接種上の注意 >
・接種間隔
1 年以内に 3 回の接種を終了することが望ましい。なお、本剤の 2 回目及び 3 回目の接種が初回接種の 2ヵ月後及び 6ヵ月後にできない場合、2 回目接種は初回接種から少なくとも 1ヵ月以上、3 回目接種は 2 回目接種から少なくとも 3ヵ月以上間隔を置いて実施すること。
・同時接種
医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができる(なお、本剤を他のワクチンと混合して接種 してはならない)
HPVワクチンの副反応と注意
副反応
・疼痛、発赤、腫脹、疲労、筋痛、頭痛、胃腸症状(悪心、嘔吐、下痢、腹痛等)、関節痛、発疹、発熱、蕁麻疹など
注意
・痛み等の頻度が高いワクチンです。
・接種の痛みや緊張のために、血管迷走神経反射が出現し、失神することがあります。接種後は少なくとも30分間は背もたれのある椅子に座って様子を見ます。
・ワクチンを接種した後や、けがの後等に原因不明の痛みが続いたことがある方は「機能性身体症状」が出現する可能性が高いと考えられています。機能性身体症状とは、何らかの身体症状はあるものの、画像検査や血液検査を受けた結果、その症状に合致する異常所見が見つからないことをいいます。
・接種後に現れた症状により、以降の接種を中止、延期することが可能です。2回目以降の接種時には、前回接種後の症状の有無を確認します。
男性のHPVワクチン接種
・HPVは男女間で感染するために、男性と女性の双方にワクチンを接種をすることによる感染を抑えることができます。
・男性がワクチンを接種すれば、自分のHPV感染やそれによる病気を予防できることと、感染源にならないことで女性パートナーをHPV感染症やそれによる病気から守ることができます。
・男性へのワクチン接種は多くの国で推奨されており、日本では2020年12月から任意ですが4価ワクチンを接種することができます。
接種をご希望の方は、1週間前までにご予約をお願いいたします。
自費の場合は、ガーダシル 1回16,500円(税込み)
シルガード 1回26,600円(税込み)
になります。
「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン」 津田沼IVFクリニック | tsudanuma-ivf-clinicのブログ (ameblo.jp)